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介護におけるアセスメント・観察のポイント Lesson 4
04

排泄における観察のポイント

尿と便は、からだからの「お便り」

尿の観察(量・色・回数・におい)から、便の観察(ブリストル便形状スケール・量・色)、排泄リズム、便秘・下痢・失禁のサイン、そして脱水との関連までを、国試で答えられる形に整理。異常を早期にとらえる目を養う章です。

「今日、出ましたか?」——この一言の裏で、脱水も、感染も、がんのサインも見つかる。尿と便は毎日届く"体調の手紙"。読み方を知れば、あなたが最初の発見者になれます。

アテナ様の導き

排泄の観察とは、尿と便を通してからだの状態を読みとることですわ。尿は「量・色・回数・におい」、便は「量・色・かたさ(性状)」を日々みつめます。健康な排泄にはリズムがあり、いつもと違う変化こそが最初のサインです。便のかたさはブリストル便形状スケールで7段階に分けて共有でき、記録すれば言葉のあいまいさが消えます。便秘・下痢・失禁の奥には脱水・感染症・大腸がんが隠れていることもあります。だからこそ、異常と気づいたら医療職へ報告する。それが排泄観察の使命ですわ。

アテナ様の導き(本音モード)

排泄の記録って、正直めんどうに感じますよね。でもね、これはいちばん早く異常に気づける仕事なんです。「昨日から尿が出てない」「便が真っ黒」「水みたいな下痢が続く」——ぜんぶ、放置すると脱水・尿路感染・消化管出血につながる危険サイン。とくに下痢と失禁は脱水と皮膚トラブルを一気に招く。介護職は診断はしません。でも「いつもと違う」を最初に見つけて伝えるのが仕事。ブリストルスケールで「今日はタイプ7でした」と言えれば、看護師も一発で状況がわかる。観察は、いちばん地味で、いちばん命に近い技術です。

1枚でつかむ:排泄観察の流れ
尿を観る → 便を観る → リズムをみる → 危険サインを拾う → 報告する
1

尿を観る

量・色・回数・においを確認。健康成人の排尿は1日4〜7回。血尿・混濁・悪臭は異常のサイン。

2

便を観る

量・色・かたさ(性状)を確認。かたさはブリストル便形状スケールで7段階に共有。血便に注意。

3

リズムをみる

排尿・排便の時間とパターンを把握。排泄日誌をつけて「その人のふつう」を知る。

4

危険サインを拾う

乏尿・無尿・尿閉血便・黒色便、水様の下痢や便秘。脱水・皮膚トラブルにも直結。

5

報告する

異常ととらえたものは医療職へ報告。診断は医療職、発見と記録は介護職の役割。

尿
1. 尿の観察のポイント
量・色・回数・におい/正常と異常

尿の観察では、量・色・回数・においを確認します。尿量が具体的にわからない場合は「少量・普通」といった区分で記録します。健康成人の排尿回数は1日4〜7回で、個人差・気温・食事・運動で変化します。色や臭い、血尿・混濁尿の有無を確認し、排尿時間はその人の排尿パターンを把握する手がかりになります。いつもと違う変化に早く気づくことが観察の目的です。

尿は毎日出る"体調メーター"。ポイントは4つ、量・色・回数・においだけ。色が濃い・少ないは脱水のサイン、赤いのは血尿、濁って臭うのは感染(膀胱炎など)のサイン。「何mLか」なんて分からなくていい、まずは「少ない・多い・濁ってる・臭う・赤い」を拾えれば十分。数字が無理でも“いつもと違う”は誰でも気づける。それを記録して伝えるのが第一歩です。

観察項目正常のめやす注意すべき異常
1日およそ1,000〜1,500mL程度。左右に個人差あり乏尿(極端に少ない)/無尿(ほとんど出ない)/多尿(1日2,500〜3,000mL以上
淡い黄色〜黄褐色で透明感がある血尿(赤〜赤褐色)/混濁尿(にごり)/濃すぎる(脱水を疑う)
回数1日4〜7回(気温・食事・運動で変化)昼間頻尿=日中に8回以上/夜間頻尿=就寝〜起床に1回以上排尿で起きる
においわずかなにおい悪臭(強いにおい)。発熱を伴う混濁・悪臭は感染症を疑い早急に報告

尿が出にくい状態が排尿困難、膀胱に尿が貯留し尿意があるのに出せない状態が尿閉。尿量が極端に減って出ない無尿とは区別する。乏尿・無尿は早急に診察が必要。

2. 尿失禁のサイン(5つの型)
タイプで対応が変わる/原因を見分ける

尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうこと。原因によって5つの型に分けられ、型によって支援の方向がまったく変わります。「どんなときに・どのくらい漏れるか」を観察すると、型を推測する手がかりになります。

どんな漏れ方か背景・多い人
腹圧性尿失禁咳・くしゃみ・重い物を持つなど腹圧がかかったときに漏れる骨盤底筋群のゆるみ。尿道の短い女性、中年以降に多い
切迫性尿失禁突然強い尿意を感じ、我慢できずに漏れる膀胱が過敏。昼間・夜間頻尿を伴うことが多い
溢流性(いつりゅうせい)尿失禁出したいのに排尿できず、尿が少しずつ漏れ出す排尿障害が前提。前立腺肥大症に多い
機能性尿失禁排尿機能は正常だが間に合わない・場所がわからない運動機能障害や認知症などで排尿関連動作に障害
反射性尿失禁尿意を感じられず、反射的に漏れる中枢神経の障害や脊髄損傷など

機能性尿失禁はからだのしくみは正常なのがポイント。トイレ誘導や環境調整、衣類の工夫で改善できる余地が大きい。型を混同しないよう「排尿機能そのものの問題か/動作や環境の問題か」で分けて考える。

便
3. 便の観察とブリストル便形状スケール
量・色・かたさ/7段階で共有する

便の観察では、量・色・かたさ(性状)と血便の有無を確認します。とくにかたさ(性状)は言葉だと人によってあいまいになりがち。そこで便のかたさをブリストル便形状スケールで7段階に分け、番号で共有すると記録・申し送りが正確になります。正常な便の水分含有率は約60〜70%で、80〜90%で泥状便、90%以上で水様便になります。硬いほど便秘寄り、水っぽいほど下痢寄りです。

便秘傾向(かたい) 理想的な便(正常) 下痢傾向(やわらかい〜水様) 1 コロコロ便 硬い小さな塊がバラバラ。強い便秘 2 硬い便 塊が連なったゴツゴツのソーセージ状 3 やや硬い便 表面にひび割れのあるソーセージ状 4 普通便(理想) 表面なめらかなバナナ状。もっとも理想的 5 やや軟らかい便 輪郭のはっきりした半固形の小塊 6 泥状便 形がくずれた不定形のドロドロした便 7 水様便 固形物のない、水のような便。下痢

ブリストル便形状スケールの模式図(オリジナル図)。タイプ1〜2は便秘傾向、3〜4は理想的な便(正常)、5〜7は下痢傾向。番号で伝えると「かたさ」の共有が正確になり、排便日誌の記録に役立つ。

便秘機能性便秘器質性便秘に大別されます。機能性には、腸管の緊張がゆるむ弛緩性便秘(水分が吸収され硬くなる。高齢者・女性に多い)、腸管が緊張しすぎてコロコロ便になる痙攣性便秘、便が直腸に達しても排便反射が起こらない直腸性便秘があります。器質性便秘は大腸がんやポリープによる通過障害が原因で、血便・激しい腹痛・嘔吐があればすぐ受診します。

4. 便秘・下痢・便失禁のサインと脱水
危険サインの拾い方/脱水・皮膚トラブルとの関連

便秘のサイン

  • いつもより便の量が少ない
  • 排便周期を過ぎても出ない
  • お腹が張る/すっきり出ない

下痢のサイン

  • 水分の多い便を頻回に排泄
  • 泥状便・水様便が続く
  • 脱水に直結。水分補給が必要

便失禁のサイン

  • 気づかず固形便が漏れる(漏出性)
  • 我慢できず漏れる(切迫性)
  • 皮膚トラブルに注意

下痢は体内の水分が失われ脱水を生じます。急性の下痢では、からだを冷やさず常温にした湯冷ましや薄めたスポーツドリンクなどで水分を補給します。排泄物は感染症の媒体となり得るため、手袋・エプロンを使用し、処理後は手洗いを徹底します。失禁が続くと皮膚トラブルも起きやすく、清潔と保湿の観察もセットです。便秘対策では、水分は1日1,200〜1,600mLを目安に、食物繊維・適度な運動・排便姿勢の工夫を行います。

介護施設では「便秘→下剤→下痢→便失禁→止瀉剤」という悪循環に陥りやすい。不適切な下剤使用は身体的・心理的・社会的な苦痛を招くため、排便日誌で状態を把握し、必要に応じて医療職と共有する。

早期に診察・報告が必要な危険サインを押さえます。尿では乏尿・無尿発熱を伴う尿の混濁・悪臭血尿が頻繁にみられる場合。便では血便が持続鮮血で量が多い発熱や嘔吐を伴う下痢(感染症の疑い)、陰部・肛門周囲の皮膚の異常ストーマ(人工膀胱・人工肛門)のトラブル。これらは医療職へすみやかに報告します。

WORD:乏尿・無尿・多尿
国試で問われる用語

尿量の異常を表す言葉。乏尿は1日の尿量が極端に少ない状態、無尿は尿がほとんどつくられず出ない状態で、いずれも早急な診察が必要。一方多尿は1日の尿量が2,500〜3,000mL以上と多い状態を指す。似た言葉に尿閉があるが、これは尿は膀胱にたまっているのに排尿できない状態であり、尿そのものがつくられない無尿とは区別する。用語の取り違えが試験の引っかけになりやすい。

試験に出るところ
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理解度チェック
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Q1. 尿の観察と用語に関する記述で、最も適切なものはどれ?

正解はA。尿閉は「尿はたまっているのに出せない」状態で、尿がつくられず出ない無尿とは区別します。Bは逆で、多尿は1日2,500〜3,000mL以上と“多い”状態(少ないのは乏尿)。Cも誤りで、健康成人の排尿回数は1日およそ4〜7回です。

Q2. 便の観察・性状に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。正常な便の水分含有率は約60〜70%で、80〜90%で泥状便、90%以上で水様便になります。Aは誤りで、理想的なのはタイプ4(表面なめらかなバナナ状)。タイプ1は硬い便秘の便です。Cも誤りで、便は量・色・かたさ・血便の有無をあわせて観察・記録します。

Q3. 排泄障害のサインと対応に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はC。下痢は水分含有量の多い便が頻回に出るため脱水に直結し、常温の湯冷ましや薄めたスポーツドリンクなどで水分を補給します。Aは誤りで、発熱や嘔吐を伴う下痢は感染症の疑いがあり医療職へ報告が必要。Bも誤りで、腹圧がかかったときに漏れるのは腹圧性尿失禁。溢流性は排尿できず尿が少しずつ漏れ出す型(前立腺肥大症に多い)です。
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