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こころとからだのしくみⅠ・第1章 Lesson 6
07

休息・睡眠に関連するこころとからだのしくみ

「眠れない」は、心とからだのSOS

休息・睡眠の意義から、レム睡眠とノンレム睡眠の違い、一晩に繰り返す睡眠周期、体内時計=概日リズム(サーカディアンリズム)、そして加齢による睡眠の変化と睡眠障害までを、国試で答えられる形に整理。

「夜眠れない」「昼うとうと」——高齢者の睡眠の乱れは、性格でもワガママでもなく、からだのしくみの変化。責める前に、まずしくみを知るページです。

アテナ様の導き

眠りは、ただ休むだけの時間ではありませんわ。睡眠は一時的に意識を低下させて脳を休ませ、こころとからだを整えるもの。日中の疲労を回復し、からだの恒常性(ホメオスタシス)を保つ大切なはたらきです。そして眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠という二つの顔があり、一晩のうちに周期をなして交互に現れます。「朝目覚めて夜眠くなる」というリズムを刻むのは、脳の中の体内時計。この理(ことわり)を知れば、眠れない方の夜に、そっと寄り添う手が見えてきますわ。

アテナ様の導き(本音モード)

現場で「夜中に何度も起きる」「昼夜逆転」に悩む方、本当に多いですよね。ここで大事なのは、それを「困った行動」じゃなく「からだのしくみの変化」として見ること。歳を重ねると眠りは浅く短くなり、夜中に目が覚めやすくなる——これは自然な変化なんです。だから叱っても直りません。日中の活動・朝の光・生活リズムを整える方が、よっぽど効く。眠りのしくみを知ることは、夜勤帯のケアの質を根っこから変える武器になりますよ。

1枚でつかむ:休息・睡眠のしくみ
休息 → 睡眠の役割 → 体内時計(概日リズム)→ レム/ノンレム → 睡眠周期
1

休息とは

活動を最小限にして心身を休ませ、エネルギーを蓄える行動。心理的ストレスからの解放も含む。

2

睡眠の役割

意識を低下させ脳を休ませる。疲労回復・健康の維持と機能の回復、からだの恒常性を保つ。

3

体内時計(概日リズム)

「朝起きて夜眠る」を刻む約24時間の周期。中枢は脳の視交叉上核。朝の光でリセット。

4

2種類の睡眠

レム睡眠=浅い眠りで脳は活動(夢)。ノンレム睡眠=脳が休む深い眠り。交互に出現。

5

睡眠周期

入眠後まずノンレム→レムへ。ノンレムからレムまで約90〜110分を一晩に4〜5回。

1. 休息・睡眠とは
休息の役割/睡眠の役割としくみ

休息とは、何もせずサボることではありません。活動を最小限にして心身を休ませ、エネルギーを保存し蓄える行動です。身体的な安らぎだけでなく、心理的な不快や心配などの心理的ストレスから解放し、心身をリフレッシュさせるくつろぎをもたらします。睡眠は、一時的に意識を低下させることで脳を休息させ、こころとからだを整えます。睡眠中に効果的に疲労を回復させ、心身の健康を維持するだけでなく、機能を回復させる役割もあります。

まず「休むこと=怠けること」じゃない、ここ大事です。休息はエネルギーを蓄える能動的な行動。介護の現場でも、利用者さんが横になって静かにしている時間を「何もしてない時間」と切り捨てないこと。そして睡眠は、脳という司令塔をメンテナンスに出す時間。日中フル稼働した脳を休ませ、からだを修復する。だから睡眠が削られると、まず脳が悲鳴を上げる——集中力や情緒の不安定さとして現れるんです。

脳は日中、全身で使うエネルギーの約20%を消費しており、眠ることで休ませています。睡眠には、このようにからだの恒常性を維持するはたらきがあります。質の良い睡眠は、長さよりも「深さ」が重要とされています。

2. 体内時計と概日リズム(サーカディアンリズム)
約24時間の周期/視交叉上核と朝の光

「朝に目覚めて夜に眠くなる」というリズムは、体内時計によるものです。このリズムを概日リズム(サーカディアンリズム)といい、体内時計の周期は約24時間といわれています。睡眠は、この概日リズムと生体外(外界)のリズムが同調することで良眠が得られます。同調させるには体内時計に刺激を与える必要があり、その中枢は脳の視床下部の視交叉上核(しこうさじょうかく)にあります。朝起きたときに光を浴びることで刺激され、体内時計がリセットされて新たな24時間のリズムが刻まれます。

光を浴びる時間が早すぎたり遅すぎたりすると、その分だけ体内時計がずれていき、朝型や夜型になります。また、もう1つの体内時計は末梢の細胞にあり、食事をすることで同調することが知られています。生活リズムを整えるには「朝の光」と「規則正しい食事」が鍵になるわけです。

3. 睡眠の種類:レム睡眠とノンレム睡眠
浅い眠り(レム)と深い眠り(ノンレム)の違い

睡眠はレム睡眠ノンレム睡眠からなります。レム(REM)睡眠は浅い眠りで、脳は活動していて覚醒に近い状態にあり、夢を見ていることが多く、瞼の裏で左右に眼球が動く急速眼球運動(Rapid Eye Movement)がみられます。「身体を休めるための睡眠」と考えられています。一方ノンレム睡眠は、脳が休んでいる状態の深い眠りです。身体は休んでいる状態ですが、筋肉はある程度緊張を保っています。ここは取り違えやすいので下の表で整理します。

比較項目レム睡眠(浅い眠り)ノンレム睡眠(深い眠り)
脳とからだ脳は活動している/からだが休んでいる状態脳が休んでいる状態/身体は休むが筋肉はある程度緊張を保つ
自律神経交感神経が優位になり、自律神経の活動に乱れが生じる副交感神経が優位になる
血圧・呼吸・脈拍血圧・呼吸数・脈拍数が不規則になる血圧・呼吸数・脈拍数が低下する
眼球運動・夢急速眼球運動がみられ、夢をよく見る眼球運動は目立たない
成長ホルモン分泌が高まる(覚醒時の2〜3倍

レム=からだは休むが脳は活動・夢を見る/ノンレム=脳が休む深い眠り。取り違え注意。ノンレムでも筋肉は完全には緩まず、ある程度の緊張を保つ点も押さえる。

4. 睡眠の段階と睡眠周期
入眠→ノンレム→レムを一晩に4〜5回

眠りにつくと、まずノンレム睡眠が現れ、次に浅い眠りのレム睡眠へと移行します。ノンレム睡眠からレム睡眠まで約90〜110分かかるとされており、成人ではこのサイクルを一晩に4〜5回ほど繰り返します。夜の前半は深いノンレム睡眠が多く、朝が近づくにつれてレム睡眠の割合が増え、眠りが浅くなって自然な目覚めに近づいていきます。

眠りの深さ 覚醒 レム睡眠(浅い) ノンレム睡眠 (深い) 就寝 目覚め 睡眠時間 →(1周期=約90〜110分/一晩に4〜5回)

一晩の睡眠段階の推移(模式図)。入眠直後にまず深いノンレム睡眠へ落ち、浅いレム睡眠との周期を4〜5回繰り返す。夜の前半は深いノンレムが多く、朝に近づくほど眠りが浅くなり、レム睡眠を経て自然な目覚めへ向かう。

5. 睡眠の生理的な意味と心身への影響
健康維持・成長ホルモン・ストレス・うつ病

睡眠の役割は心身を休息させることにありますが、特にからだの司令塔である脳を定期的に休ませることで集中力も高まります。しかし睡眠不足になると、脳の疲労が回復できず倦怠感や注意力の喪失など、精神活動のコントロールが難しくなります。睡眠の質が低下すると日中に眠気が残り、その状態が持続すると疲労が蓄積して情緒が不安定になります。

① 成長ホルモン

組織の成長・修復を促す成長ホルモンは睡眠中に分泌され、ノンレム睡眠中に分泌されやすい。骨の成長・筋肉量・免疫物質にも関与。

② ストレス

ストレスは交感神経を刺激し、心身が興奮して良質な睡眠が得られない。睡眠不足とストレスは互いに影響し悪循環を起こす。

③ うつ病

うつ状態では睡眠障害がみられる。逆に睡眠障害があるとうつ病になりやすいことも報告されている。

寝つきをよくし、質の高い睡眠をとることが、成長ホルモンの分泌・情緒の安定・心身の健康維持につながる。

WORD:視交叉上核(しこうさじょうかく)/概日リズム
国試で問われる用語

視交叉上核とは、脳の視床下部にある小さな神経核で、睡眠・行動や内分泌などの生理的現象の概日リズムを統率する時計中枢の役割を担う。概日リズム(サーカディアンリズム)は、体内時計が刻む約24時間の周期で、朝起きて光を浴びることでリセット・同調される。この2語はセットで押さえておくと、睡眠のリズムに関する出題に強くなる。

試験に出るところ
本音でまとめる
理解度チェック
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Q1. レム睡眠の説明として、最も適切なものはどれ?

正解はB。レム(REM)睡眠は浅い眠りで、脳は活動していて夢を見ることが多く、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)がみられます。Aは逆で、脳が休む深い眠りは「ノンレム睡眠」。Cの成長ホルモンが高まるのもノンレム睡眠側の特徴です。レムとノンレムの取り違えに注意。

Q2. 成人の睡眠周期に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。入眠後はまずノンレム睡眠が現れ、次に浅いレム睡眠へ移行します。1周期は約90〜110分で、成人では一晩に4〜5回繰り返します。Aは順番が逆(まずノンレム)。Cは逆で、質の良い睡眠は長さよりも「深さ」が重要とされています。

Q3. 概日リズム(サーカディアンリズム)に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はC。概日リズムは約24時間の周期で、中枢は脳の視床下部にある視交叉上核にあります。朝起きて光を浴びることで体内時計がリセット・同調されます。Aの周期は約24時間で「12時間」は誤り。Bの中枢は小脳ではなく視交叉上核、リセットは「朝の光」です。
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