閉塞性動脈硬化症(ASO)を知る
脚の動脈が動脈硬化で詰まり、歩くと足が痛む ― 「足の血管の病気」であり「全身の血管の病気」でもある。足を守る介護=フットケアが命綱
脚の動脈が動脈硬化で詰まり、歩くと足が痛む ― 「足の血管の病気」であり「全身の血管の病気」でもある。足を守る介護=フットケアが命綱
閉塞性動脈硬化症(ASO:Arteriosclerosis Obliterans)は、動脈硬化によって主に下肢(脚)の動脈が狭窄・閉塞し、足先まで十分な血液が流れなくなる病気です。血液不足(虚血)によって、歩くと足が痛む・冷える・傷が治らない、といった症状が出ます。
現在は国際的な呼び方に合わせて末梢動脈疾患(PAD)とも呼ばれます。国試や介護保険の書類では「閉塞性動脈硬化症」の名前で出るので、ASO=PAD(の代表)と押さえておきましょう。
この病気の本質は「全身の動脈硬化が、たまたま脚に強く出たもの」です。つまり脳や心臓の血管も同じように傷んでいることが多く、脳梗塞・心筋梗塞の合併が非常に多いのが最大の特徴です。
脚の動脈は、足先まで血液を届ける水道の本管。この本管の内側に脂のヘドロ(動脈硬化)がべったりこびりついて、水(血液)の通り道がどんどん細くなる。最後は完全に詰まる。
すると一番遠い蛇口(足先)まで水が来ない。だから足が冷たい、歩くと足の筋肉が「酸素が足りない!」って悲鳴を上げて痛む、傷ができても治らない…ってなる。
そして怖いのはここ。ヘドロがたまってるのは脚の本管だけじゃない。家中の水道管が同じように老朽化してるってこと。つまり心臓の管(心筋梗塞)や脳の管(脳梗塞)も詰まりかけてる可能性が高い。「足の病気」に見えて、実は「全身の血管の警報」なんだ。
国内の患者数は推定数百万人とされる(無症状の人を含む)。60歳以上で急増し、高齢者の数%〜十数%に見られるとする報告もある。自覚症状がないまま進行している人が多い。
男性に多く、最大の危険因子は喫煙。糖尿病・高血圧・脂質異常症・慢性腎臓病(特に透析患者)で発症リスクが数倍に上がる。
ASO患者の死因の多くは心筋梗塞・脳卒中。間欠性跛行のある人の5年死亡率は約15〜30%とされ、脚よりも先に「心臓・脳」を守る視点が必要。
日本に数百万人いると言われてる。でも本人が気づいてないケースがめちゃくちゃ多い。60歳過ぎたら急に増える。
タバコが一番の敵。あと糖尿病・高血圧・コレステロール高い人・透析してる人。「血管を傷める生活」を長年やってきた人がなる。
足が痛い人の4〜5人に1人が5年以内に亡くなるって報告もあって、その多くが心筋梗塞や脳卒中。足は氷山の一角。
・ASO=下肢動脈の動脈硬化による狭窄・閉塞(末梢動脈疾患:PADとも)
・危険因子は喫煙・糖尿病・高血圧・脂質異常症・加齢・男性・透析
・脳梗塞・心筋梗塞を高率に合併する全身の動脈硬化性疾患
・介護保険の特定疾病16種類の1つ
動脈の内側にコレステロールなどがたまってプラーク(粥腫)ができ、血液の通り道(内腔)が狭くなります。安静時は少ない血流でも足りますが、歩くと筋肉が多くの酸素を要求するため、狭い血管では需要を賄えず、筋肉が酸欠になって痛みが出ます。これが間欠性跛行の正体です。
さらに進むと安静にしていても血液が足りず(安静時痛)、皮膚や組織が壊れて潰瘍・壊疽に至ります。
好発部位は、①腸骨動脈(骨盤内)、②大腿動脈(太もも。特に浅大腿動脈が最も多い)、③膝窩動脈以下(膝の裏〜すね)。糖尿病・透析患者では膝より下の細い動脈がやられやすく、治療が難しくなります。
パイプの内側にヘドロ(プラーク)がこびりついて、通り道が細くなる。でもじっとしてる時は、チョロチョロの水でも足りるから気づかない。
ところが歩き出すと筋肉が「もっと水(酸素)くれ!」って大量に要求する。細いパイプじゃ供給が追いつかない。筋肉が酸欠になって「痛い!」って悲鳴を上げる。立ち止まると要求が減るから、また足りるようになって痛みが消える。これが「歩くと痛い、休むと治る」の仕組み。
どこが詰まるかは「骨盤の中」「太もも」「膝から下」の3か所が定番。太ももの動脈が一番多い。糖尿病や透析の人は膝から下の細いパイプがやられがちで、細いから直すのも難しい。
血管が詰まると、その先(末梢側)の筋肉が酸欠になります。腸骨動脈の病変なら殿部〜大腿、大腿動脈ならふくらはぎ(最も典型的)、膝より下なら足部に症状が出ます。「どこが痛いか」で「どこが詰まっているか」の見当がつきます。
・原因は動脈硬化(プラーク)による下肢動脈の狭窄・閉塞
・症状は運動時に酸素需要が増えて出る → 休むと消える
・好発部位は腸骨動脈・大腿動脈・膝窩動脈以下。ふくらはぎの痛みが典型
・脳梗塞・心筋梗塞と同じ病気(動脈硬化)が脚に出たもの
ASOの重症度はFontaine(フォンテイン)分類で4段階に分けます。国試では「II度=間欠性跛行」「III度=安静時痛」「IV度=潰瘍・壊疽」がよく問われます。
III度・IV度は重症下肢虚血(CLI)と呼ばれ、放置すると下肢切断に至る危険が高い状態です。近年は感染や神経障害も含めた包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)という概念も使われます。CLIでは1年以内に約2〜3割が大切断に至るとされ、早急な血行再建が必要です。
この病気は階段を1段ずつ降りていくみたいに悪くなる。
1段目:足が冷たい、しびれる。「冷え性かな?」で済まされがち。
2段目:歩くとふくらはぎが痛い。休むと治る。ここが一番多い。
3段目:寝てても痛い。夜、足がズキズキして眠れない。ベッドから足を垂らすとちょっと楽。
4段目:足の指が黒くなる、傷が治らない。組織が死んでる。
3段目以降は「重症」。水が全然来なくなった土地の草木が枯れるみたいに、足が腐り始める。ここまで来ると1年で4〜5人に1人が足を切断してる。だから2段目までで止めるのが勝負。
糖尿病による神経障害があると、痛みを感じにくいため、II度・III度の警報なしにいきなりIV度(潰瘍・壊疽)で見つかることがあります。「痛がらないから大丈夫」は通用しません。足を毎日見ることが唯一の早期発見法です。
・Fontaine分類:I 冷感・しびれ/II 間欠性跛行/III 安静時痛/IV 潰瘍・壊疽
・III・IV度=重症下肢虚血(CLI)→ 切断リスク
・安静時痛は夜間に強く、足を下げると楽になる
・糖尿病合併では痛みが出にくく、発見が遅れやすい
間欠性跛行を起こす二大疾患がASO(血管性跛行)と脊柱管狭窄症(神経性跛行)です。どちらも介護保険の特定疾病で、どちらも高齢者に多く、国試ではこの鑑別が定番です。
決定的な違いは「回復に姿勢が関係するか」。ASOは筋肉の酸素不足が原因なので、立ち止まるだけで数分で回復します。脊柱管狭窄症は腰を伸ばすと神経が圧迫されるので、前かがみになるか座らないと回復しません。
もう一つの決め手が自転車。脊柱管狭窄症は前傾姿勢なので自転車なら何キロでも漕げますが、ASOは脚の筋肉を使う以上、自転車でも症状が出ます。詳しくは脊柱管狭窄症のページも合わせて確認してください。
「歩くと足が痛い」高齢者を見たら、パイプ(血管)が詰まってるのか、電線(神経)が押されてるのかを見分ける。介護現場で使える見分け方はこの3つ:
①休み方:その場で立ち止まるだけで楽 → ASO/前かがみ・座らないと楽にならない → 狭窄症
②自転車:漕いでも痛い → ASO/何キロでも漕げる → 狭窄症
③足の甲の脈:触れない・弱い → ASO/ちゃんと触れる → 狭窄症
理屈はシンプル。ASOは「筋肉に水が足りない」から、筋肉を休ませれば姿勢に関係なく回復するし、自転車だって筋肉使うから痛い。狭窄症は「腰を伸ばすと電線が押される」から、腰を丸めないと回復しないし、前かがみの自転車なら平気。狭窄症のページと見比べると腹落ちする。
| 項目 | ASO(血管性跛行) | 脊柱管狭窄症(神経性跛行) |
|---|---|---|
| 原因 | 動脈が詰まり筋肉が酸素不足 | 腰を伸ばすと神経が圧迫される |
| 痛む場所 | ふくらはぎが典型(詰まる部位で殿部・太もも・足部も) | 殿部〜太もも〜下腿にしびれ・脱力。会陰部のしびれや尿の症状も |
| 休み方 | 立ち止まるだけで数分で回復。姿勢は関係なし | 前かがみ・座る・しゃがむで回復。立ったままでは治りにくい |
| 姿勢の影響 | なし | 前屈で楽・後屈で悪化 |
| 自転車 | 自転車でも症状が出る(筋肉を使うため) | 自転車なら出ない(前傾姿勢のため) |
| 坂道・階段 | 上りで早く症状が出る(筋肉の負荷が増える) | 下りで悪化しやすい(腰が反る)、上りは前かがみで楽 |
| 足背動脈の触知 | 触れない・弱い(左右差あり) | 正常に触れる |
| 皮膚 | 冷たい・蒼白、足の毛が抜ける、爪が厚くなる、潰瘍 | 正常(温かい) |
| ABI | 0.9以下 | 正常(1.0〜1.4) |
| 背景 | 喫煙・糖尿病・高血圧・脂質異常症・透析 | 加齢による背骨の変性 |
| 介護の注意 | フットケア・低温やけど・足を上げると悪化 | 前かがみ姿勢を活かす・腰を反らさない |
「痛くなったら、その場で立ち止まるだけで治りますか?」 → はい:ASO寄り/前かがみや座らないとダメ:狭窄症寄り
「自転車は乗れますか?」 → 乗れる:狭窄症寄り/乗っても痛い:ASO寄り
「足の甲を触らせてください」 → 脈が弱い・冷たい・左右差:ASO寄り
※両方を合併している高齢者も珍しくありません。判断は医師に委ね、介護職は「気づいて報告」が仕事です。
・ASO=立ち止まるだけで回復/脊柱管狭窄症=前かがみで回復
・自転車:ASOは出る/狭窄症は出ない
・足背動脈の触知が決定的(ASOは触れない)、ABI 0.9以下
・両者とも介護保険の特定疾病16種類に含まれる
ASOの診断は身体所見とABIで大半が決まります。ABI(足関節上腕血圧比)は、足首の血圧を腕の血圧で割った値。正常なら足首の方がやや高く1.0〜1.4ですが、脚の動脈が詰まると足首の血圧が下がり、0.9以下でASOを疑います。
身体所見では、足背動脈(足の甲)・後脛骨動脈(内くるぶしの後ろ)の触知、皮膚温・皮膚色の左右差、足の毛の脱落、爪の変形、傷の有無を確認します。
血管のどこがどれだけ詰まっているかは、超音波(エコー)・CTアンギオ・MRアンギオ・血管造影で評価し、治療方針を決めます。
水道の本管が詰まってたら、一番遠い蛇口の水圧が下がるよね。それを血圧でやるのがABI。腕の血圧(上流)と足首の血圧(下流)を比べて、足首の方が明らかに低ければ「途中で詰まってる」ってわかる。
目安は0.9以下でアウト。普通は足首の方がちょっと高いくらい(1.0〜1.4)だから、0.9を切ったら途中で水圧が落ちてる証拠。
介護現場でできるのは「足の甲の脈を触る」「両足を触って温度を比べる」「色を見る」。これだけでもかなりわかる。片足だけ冷たい・白い・脈が弱い、は即報告レベル。
| 検査 | 何がわかるか | 特徴 |
|---|---|---|
| 問診 | 跛行距離、休み方、喫煙歴、糖尿病 | 「立ち止まるだけで治る?」「自転車は?」で脊柱管狭窄症と鑑別 |
| 脈の触知 | 足背動脈・後脛骨動脈・膝窩動脈・大腿動脈 | 介護現場でもできる。左右差が重要。触れなければ強く疑う |
| 視診・触診 | 皮膚温・色調の左右差、脱毛、爪肥厚、潰瘍・壊疽 | 足を挙上すると蒼白になり、下垂すると赤黒くなる(挙上・下垂テスト) |
| ABI | 足関節血圧 ÷ 上腕血圧 | 0.9以下で異常。簡便・非侵襲でスクリーニングの基本 |
| 超音波(エコー) | 血流の速さ・向き、狭窄部位 | 被ばくなし、外来で可能 |
| CT/MRアンギオ・血管造影 | 詰まりの場所・長さ・程度を立体的に | 血行再建(カテーテル・バイパス)の計画に必須 |
血管の壁が石灰化してカチカチになると、血圧計のカフで押しつぶせず足首の血圧が高く測定され、ABIが1.4を超えることがあります。この場合ABIは当てにならず、足趾の血圧(TBI)や皮膚灌流圧(SPP)などで評価します。「ABIは正常だった」だけで安心しないこと。
・ABI 0.9以下でASOを疑う(正常1.0〜1.4)
・足背動脈・後脛骨動脈の触知、皮膚温・色調の左右差を見る
・確定と治療計画は超音波・CT/MRアンギオ・血管造影
・石灰化(透析・糖尿病)ではABIが偽性高値になる
ASOの治療は、①危険因子の管理(全身の動脈硬化を止めて心筋梗塞・脳梗塞を防ぐ)、②薬物療法、③運動療法、④血行再建(詰まった血管を物理的に開ける)、⑤やむを得ない場合の切断、で構成されます。
この中で最も重要なのは禁煙です。喫煙を続けると症状の悪化・切断・死亡のリスクが大きく上がり、血行再建をしても再び詰まりやすくなります。血糖・血圧・脂質(LDLコレステロール)の管理も同じくらい大切です。
運動療法(歩行訓練)はII度(間欠性跛行)に対する第一選択の治療で、痛みが出るまで歩いて、休んで、また歩くを繰り返すことで、詰まった血管の脇に側副血行路(迂回路)が発達し、歩ける距離が伸びます。医療者の監視下で1回30〜60分・週3回・3か月以上が目安とされます。
①タバコをやめる=ヘドロを流し込む元栓を閉める。これをやらないと何をしても無駄。配管を掃除してもすぐまた詰まる。
②歩く=脇道(バイパス)を自分の体で育てる。「痛くなるまで歩いて休む」を繰り返すと、体が「本管ダメだから脇の細い道を太くしよう」って迂回路を勝手に育ててくれる。歩くこと自体が治療。ただし痛みを我慢して歩き続けるのはNG、痛くなったら休む。
③薬=血をサラサラにして詰まりにくくする(シロスタゾールとか)+コレステロールの薬。
④カテーテル・バイパス=配管工事。細い管を血管に通して風船やステントで押し広げる(配管掃除)か、自分の静脈や人工血管で新しいパイプを通す(配管の引き直し)。
⑤切断は最後の最後。腐って感染が全身に回ると命に関わるから、命を守るための選択になる。
禁煙:最優先。受動喫煙も避ける
危険因子管理:血糖(HbA1c)、血圧、LDLコレステロール(スタチン)の管理
抗血小板薬:シロスタゾール(跛行距離の改善。心不全には禁忌)、アスピリン、クロピドグレルなど。プロスタグランジン製剤も用いられる
運動療法:監視下歩行訓練。痛みが出たら休み、治ったらまた歩く
フットケア:傷・感染の予防(次ページ)
対象:保存療法で改善しないII度、III・IV度(重症下肢虚血)
血管内治療(EVT):カテーテルでバルーン拡張・ステント留置。体への負担が少ない
バイパス手術:自分の静脈や人工血管で詰まった部分を迂回。長い閉塞に有効
切断:壊疽・感染が制御できない場合。敗血症から命を守るための最終手段。切断後はリハビリ・義足・住宅改修へ
・禁煙:これ抜きで治療は成立しない
・血糖・血圧・コレステロールを薬でコントロール
・血をサラサラにする薬(シロスタゾール等)
・痛くなるまで歩いて休むを毎日。脇道が育つ
・足を毎日チェック
・カテーテル:血管の中から風船で広げてステント(筒)を入れる。傷が小さい
・バイパス:新しいパイプを迂回で通す。長く詰まってる時
・切断:腐って感染が止められない時。命を優先する判断
・工事してもタバコ吸えばまた詰まる
脊柱管狭窄症のように「前かがみで休む」必要はなく、その場で立ち止まるだけでOK。痛みが治まったら再開します。痛みを我慢して歩き続けるのは筋肉を傷めるのでNG。逆に「痛いから歩かない」も側副血行路が育たず逆効果。「ほどよく痛くなるまで歩く → 休む」の繰り返しが、脚の血管を自分で作る訓練です。
・治療の最優先は禁煙。血糖・血圧・脂質の管理も必須
・運動療法(歩行訓練)で側副血行路が発達し跛行距離が伸びる
・薬は抗血小板薬(シロスタゾールなど)
・重症下肢虚血には血行再建(カテーテル・バイパス)、最終手段が切断
ASOの足は血流が乏しいため、傷の治りが極端に悪く、感染にも弱い状態です。靴擦れ・深爪・白癬(水虫)の小さな傷が、数週間で潰瘍・壊疽に進み、切断に至ることがあります。「傷を作らない」「傷を早く見つける」のが介護職の最重要任務です。
特に注意すべきが低温やけどです。血流の悪い足は熱を逃がせず、さらに糖尿病の神経障害があると熱さを感じません。湯たんぽ・カイロ・電気毛布・こたつ・ストーブで本人が気づかないうちに深いやけどを負い、そこから壊疽になる事故が後を絶ちません。足浴の湯温も40℃以下を温度計で確認し、手で「ぬるい」と感じる程度にします。
水が届かない土地の草木は、ちょっと踏まれただけで枯れる。ASOの足も同じで、血(栄養と免疫)が来てないから、靴擦れ1個・深爪1回が治らずにどんどん広がる。最後は黒くなって切断。だから「傷を作らない」が全て。
一番やりがちな事故が低温やけど。「足が冷たいから温めてあげよう」って湯たんぽやカイロを当てるのが一番危ない。血が流れてないから熱がこもるし、感覚が鈍ってるから熱いのに気づかない。朝起きたら水ぶくれ、1か月後に壊疽ってパターンがある。
足浴も同じ。「気持ちいい温度」は危険な温度。温度計で40℃以下を必ず確認。「ちょっとぬるいかな?」でちょうどいい。あと、良かれと思っての足のマッサージや強くもむのもNG。血栓が飛んだり組織を傷めたりする。
必ず温度計で測る(介助者の手の感覚は当てにならない)。時間は10分程度まで。温めた後は指の間まで水分を拭き取る。血流の悪い足は放熱もできないため、「少しぬるい」が正解です。
・湯たんぽ・カイロ・電気あんかを足に直接当てる(低温やけど → 壊疽)
・マッサージ・強くもむ・強い圧迫(組織損傷や血栓の遊離のおそれ。弾性ストッキングも医師の指示なしに使わない)
・深爪、タコやウオノメを自分(介護職)で削る
・きつい靴下・ゴムの強い靴下で締め付ける
・傷を見つけて「小さいから」と様子を見る
・ASOのフットケア:毎日の観察・清潔・保湿・爪はまっすぐ・靴擦れ防止・素足禁止
・低温やけどに注意:湯たんぽ・カイロ・こたつを直接当てない
・足浴の湯温は40℃以下を温度計で確認
・マッサージ・強い圧迫は避ける。傷は小さくても報告
ASOでは足を心臓より高く上げると、ただでさえ弱い動脈血流がさらに減って痛みが悪化することがあります。安静時痛のある人が「ベッドから足を垂らすと楽になる」のはこのためです。むくみ(静脈やリンパの病気)では足を上げるのが基本ですが、ASOでは逆になることがあるため、医師・看護師の指示を確認しましょう。
また、冷えは血管を収縮させて症状を悪化させるため下肢を冷やさないことは大切ですが、直接の加温(湯たんぽ・カイロ)は低温やけどの危険があります。靴下・レッグウォーマー・室温調整・体幹を温める、といった「間接的に温める」方法を使います。
歩行は治療です。痛みが出たら休み、治まったらまた歩く。無理はしないが、痛みを恐れて動かないのも良くありません。そして禁煙は本人だけでなく、家族・施設の受動喫煙対策も含めて徹底します。
むくみの人には「足を高くして寝ましょう」って言うよね。でもASOの人にそれをやると逆に痛がる。理屈は水道と同じで、ただでさえ水圧が弱い蛇口を、さらに高い所に持ち上げたら、ますます水が届かない。だからASOの人は足を下げた方が楽。夜、ベッドから足を垂らして寝てる人がいたら「ASOの安静時痛かも」って気づけるとプロ。
「冷やさない」も大事だけど、直接温めるのは危険ってさっき言った通り。じゃあどうするかというと、靴下・レッグウォーマー・部屋を暖かく・お腹や腰を温める。「間接的に温める」がコツ。
あと締め付ける靴下は禁止。ゴムの跡がくっきり付くやつは、細くなった管をさらに絞ってる。ゆるゆるの靴下に変える。
・毎日の歩行(痛みが出たら休む)
・側副血行路を育てる
・無理をしない、我慢もしない
・歩ける距離を記録して変化に気づく
・靴下・レッグウォーマーで保温(直接加温はNG)
・ゴムのきつい靴下は避ける
・正座や足を組む姿勢を長く続けない
・冬場の外出は特に注意
・下肢挙上で痛みが増すことがある
・安静時痛は足を下げると楽
・むくみ対策の挙上は医師に確認
・静脈疾患とは対応が逆になりうる
痛くなるまで歩いて休む。これが脇道を育てる。「痛いから寝てる」は逆効果。歩ける距離をメモしとくと悪化に気づける。
直接温めるのはNG、でも冷えもNG。答えはゆるい靴下・レッグウォーマー・部屋の暖房。ゴム跡がつく靴下は即交換。
むくみの人と逆。上げると痛い、下げると楽。「足高くしましょうね」を反射でやらない。まず確認。
・歩行は治療(痛みが出たら休む・無理しない)
・下肢を冷やさないが、湯たんぽ・カイロで直接温めない
・締め付ける靴下は避ける
・下肢挙上で悪化することがある(静脈疾患とは逆)
・禁煙の徹底
ASOの慢性的な狭窄に血栓が詰まる、あるいは心臓(心房細動など)でできた血栓が脚の動脈に飛ぶ(塞栓)と、突然、脚への血流が完全に途絶します。これが急性動脈閉塞で、およそ6時間以内に血流を再開しないと筋肉や神経が壊死し、切断や命に関わります。
特徴的な症状が「5P」。突然の激しい痛み・蒼白・脈が触れない・しびれ・動かないが揃ったら、様子を見ずに直ちに救急要請です。
そしてもう一つの「合併症」が心筋梗塞・脳梗塞。ASOの人は全身の動脈硬化が進んでいるため、胸痛・呼吸苦・片側の麻痺・ろれつが回らない、といったサインにも常に注意します。
今まではチョロチョロでも水が来てた。それが血の塊(血栓)がドン!と詰まって、完全にゼロになるのが急性動脈閉塞。水が完全に止まった土地は、6時間くらいで枯れる(壊死する)。切断か、下手すると命も危ない。
見分け方は5つのP。急に激痛(Pain)、真っ白(Pallor)、脈がない(Pulselessness)、しびれ(Paresthesia)、動かない(Paralysis)。「さっきまで普通だったのに急に片足が真っ白で痛がって動かない」は迷わず119。夜勤で「朝まで様子見」は絶対ダメ。
あと忘れちゃいけないのが心臓と脳。足の管が詰まる人は、心臓と脳の管も詰まりかけてる。胸が痛い、息が苦しい、片側の手足が動かない、ろれつが回らない ― これも全部緊急。
血流が途絶えてからおおむね6時間が勝負とされます。「朝まで待つ」「明日の受診で」は脚を失う判断です。夜間でも直ちに看護師・医師へ連絡、または119番。搬送までは患肢を温めない・マッサージしない・心臓より高く上げない(血流をさらに減らさない)ことを守ります。
・胸の痛み・圧迫感・締めつけ感(20分以上続く)
・冷や汗、吐き気、呼吸苦
・高齢者・糖尿病では胸痛がないことも(「なんとなく元気がない」に注意)
・Face:顔の片側が下がる
・Arm:片腕が上がらない
・Speech:ろれつが回らない
・Time:すぐ119番、発症時刻を記録
胸が痛い・締めつけられる・冷や汗・息苦しい。ただしお年寄りと糖尿病の人は胸が痛くないことがある。「なんか今日変」を軽く見ない。
顔が片側だけ下がる、片腕が上がらない、ろれつが怪しい。1個でも当てはまれば119。何時に始まったかメモっとく(治療に必要)。
・急性動脈閉塞の5P:Pain(疼痛)・Pallor(蒼白)・Pulselessness(脈拍消失)・Paresthesia(知覚異常)・Paralysis(運動麻痺)
・発症から数時間(約6時間)が勝負 → 直ちに救急対応
・ASOは心筋梗塞・脳梗塞の高リスク群
ASOの介護は、①毎日の足の観察、②入浴・足浴の湯温管理、③歩行・移動介助時の痛みへの配慮、④合併症(糖尿病・透析)を踏まえたケア、⑤緊急サインの察知の5本柱です。
移動介助では、間欠性跛行の距離を把握しておき、痛みが出る前に休憩を挟む計画を立てます。車椅子移乗やベッド上では足先をぶつけない・引きずらないことも傷の予防になります。
糖尿病を合併している人は低血糖(冷や汗・ふるえ・意識の変化)への注意と、痛みを感じにくいための足の観察強化が必要です。透析患者はASOの合併率が高く、進行も速いため、シャント側の腕を守るのと同じ意識で「足も守る」を徹底します。
1. 足を毎日見る:色・温度・傷・爪。顔を見るのと同じ習慣にする。
2. お湯は温度計:足浴も入浴も40℃以下。手の感覚を信じない。
3. 痛くなる前に休ませる:「100m歩くと痛い人」なら80mで一回ベンチ。
4. 糖尿病・透析の人は特別警戒:痛みを感じないから傷に気づかない。低血糖にも注意。
5. 急な変化は即報告:片足が急に白い・冷たい・激痛・動かない → 5P → 119。
逆にやっちゃダメなのは、湯たんぽ・カイロ・マッサージ・きつい靴下・足を高く上げる・傷の様子見。「良かれと思って」が一番危ない病気。
・湯たんぽ・カイロ・電気毛布・こたつを足に直接当てる
・温度計なしで足浴・入浴の湯を用意する
・足のマッサージ・強くもむ・強い圧迫(弾性ストッキングの自己判断使用も)
・むくみ対策のつもりで足を高く上げ続ける(悪化しうる。医師に確認)
・傷・水ぶくれ・黒ずみを「小さいから」と報告しない
・5Pのサインを夜間だからと朝まで待つ
・介護職の役割は観察と早期報告。足の色・温度・傷・脈の左右差を見る
・足浴・入浴は40℃以下、温度計で確認
・移動介助は痛みが出る前に休憩。休憩は立ち止まるだけでよい
・糖尿病合併は痛みを感じにくい → 観察強化。透析患者はASO高リスク
閉塞性動脈硬化症は介護保険法の特定疾病16種類の1つです。そのため40〜64歳の第2号被保険者でも、ASOが原因で要介護状態になれば介護保険サービスを利用できます。
一方で、OPLL(後縦靱帯骨化症)のような「指定難病」ではないため、難病法による医療費助成はありません。医療費は通常の医療保険と高額療養費制度で対応します。
下肢を切断した場合は身体障害者手帳(肢体不自由)の対象となり、義足・装具は障害者総合支援法の補装具費支給(治療用装具は医療保険)、手すり・段差解消などの住宅改修は介護保険で支援を受けられます。
ASOは「特定疾病」に入ってるから、40歳を過ぎてれば介護保険が使える。普通は65歳からだけど特別扱い。糖尿病持ちで50代でASOになって足を切断した人が、介護保険で住宅改修や訪問介護を使えるのはこの仕組みのおかげ。
ただしOPLLと違って「難病」扱いではない。医療費の難病助成は出ないから、そこは高額療養費制度でカバー。「難病なんですよね?」って聞かれたら「介護保険の特定疾病ではあるけど、指定難病ではないですね」って答えられると信頼される。
足を切断したら身体障害者手帳が取れて、義足は障害福祉の補装具、家の手すりや段差は介護保険の住宅改修。制度を組み合わせて生活を組み立て直す。
| 制度 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 介護保険 (特定疾病) | 40〜64歳でも介護保険サービスが利用可能 | 第2号被保険者もASOが原因なら対象。65歳以上は通常通り |
| 医療保険 | 通常の自己負担(1〜3割)で診療。血行再建・入院は高額療養費制度 | 難病法の医療費助成はなし(指定難病ではない) |
| 身体障害者手帳 | 下肢切断・下肢機能障害で肢体不自由として認定 | 切断部位・機能障害の程度で等級が決まる。医療費助成・税の減免・交通割引など |
| 義足・装具 | 障害者総合支援法の補装具費支給(生活用義足) | 治療・訓練用の義足は医療保険。どちらか確認 |
| 住宅改修・福祉用具 | 介護保険で手すり・段差解消・滑り止め床、歩行器・車椅子の貸与 | 住宅改修費は原則20万円まで(自己負担1〜3割)。障害福祉との使い分けはケアマネ・相談員へ |
| 障害年金 | 切断や重い機能障害で日常生活に支障がある場合 | 初診日の年金加入状況で国民年金/厚生年金が決まる |
閉塞性動脈硬化症は、脊柱管狭窄症・後縦靱帯骨化症・脳血管疾患などと並んで「加齢に伴って生ずる」心身の変化に起因する疾病として特定疾病に指定されています。同じ動脈硬化が原因の脳血管疾患も特定疾病に含まれ、両者を合併する人も少なくありません。
・閉塞性動脈硬化症は介護保険の特定疾病16種類の1つ
・40〜64歳の第2号被保険者もASOが原因なら介護保険利用可
・指定難病ではない(医療費助成なし)
・切断後は身体障害者手帳(肢体不自由)、義足は補装具、住宅改修は介護保険
1. 下肢動脈の動脈硬化で血流が不足する病気。末梢動脈疾患(PAD)とも呼ぶ。喫煙・糖尿病・高血圧・脂質異常症・透析が危険因子。
2. 全身病である。心筋梗塞・脳梗塞を高率に合併し、死因の多くは心血管イベント。
3. Fontaine分類:I 冷感・しびれ/II 間欠性跛行/III 安静時痛/IV 潰瘍・壊疽。III・IV度は重症下肢虚血で切断リスク。
4. 脊柱管狭窄症との鑑別:ASOは立ち止まるだけで回復・自転車でも出る・足背動脈が触れない・ABI 0.9以下。狭窄症は前かがみで回復・自転車なら出ない。
5. 治療は禁煙が最優先。歩行訓練で側副血行路を育て、抗血小板薬、重症なら血行再建(カテーテル・バイパス)。
6. フットケアが介護の核心。毎日足を見る、湯温は40℃以下を温度計で、低温やけど厳禁、マッサージ・強い圧迫・下肢挙上・締め付けを避ける、小さな傷も報告。
7. 急性動脈閉塞の5P(疼痛・蒼白・脈拍消失・知覚異常・運動麻痺)は数時間で脚を失う緊急事態。特定疾病16種類の1つで40〜64歳も介護保険可、指定難病ではない。
1. 脚の水道の本管がヘドロで詰まって、蛇口(足先)まで水が来ない病気。タバコ・糖尿病・透析の人に多い。
2. 足の病気に見えて全身の血管の警報。心臓と脳の管も詰まりかけてる。死ぬのは足じゃなく心臓・脳。
3. 冷たい→歩くと痛い→寝てても痛い→腐るの4段階。3段目からは切断が見えてくる。
4. 「立ち止まるだけで治る」「自転車でも痛い」「足の甲の脈がない」ならASO。前かがみで治るなら狭窄症。
5. 禁煙が元栓、歩くのが脇道づくり。痛くなったら休む、治ったらまた歩く。
6. 足は第二の顔。毎日見る。お湯は温度計で40℃以下。湯たんぽ・カイロ・マッサージ・きつい靴下・足上げは全部NG。「良かれと思って」が事故になる。
7. 急に片足が激痛・真っ白・脈なし・しびれ・動かない=5P=即119。40歳から介護保険OK、でも難病助成はナシ。
ASO vs 脊柱管狭窄症:立ち止まるだけで回復+自転車でも出る+足の脈が弱い(ASO) vs 前かがみで回復+自転車なら平気+脈は正常(狭窄症)
ASO vs 静脈の病気(下肢静脈瘤・深部静脈血栓症):足を上げると悪化(ASO) vs 足を上げると楽(静脈)。弾性ストッキングは静脈疾患では基本、ASOでは慎重
ASO vs バージャー病(閉塞性血栓血管炎):高齢者・動脈硬化(ASO) vs 若い男性喫煙者・血管の炎症(バージャー病)。どちらも禁煙が必須
「ASO = 下肢動脈の動脈硬化 → 間欠性跛行 → 立ち止まれば回復・足の脈が触れない」
・Fontaine分類:II 間欠性跛行/III 安静時痛/IV 潰瘍・壊疽
・脊柱管狭窄症との鑑別:姿勢・自転車・足背動脈・ABI(0.9以下)
・フットケア:低温やけど注意、足浴は40℃以下を温度計で、下肢挙上で悪化
・治療の要は禁煙と歩行訓練、薬は抗血小板薬
・急性動脈閉塞の5Pは緊急
・介護保険の特定疾病16種類の1つ、40〜64歳でも介護保険が使える、指定難病ではない