ホメオスタシス(恒常性)とは何か。内部環境=細胞外液が一定に保たれるしくみを軸に、神経による調節(交感・副交感)とホルモンによる調節、そして異物からからだを守る生体防御・免疫までを、国試で答えられる形に整理。
暑ければ汗が出る、寒ければ震える——「意識しなくても勝手に整う」その裏側に、神経とホルモンの精密な連携がある。丸暗記じゃなく"なぜそうなるか"でつかむページです。
人のからだには、生命を維持するためのしくみが備わっています。その一つがホメオスタシス(恒常性)——外の世界や体内の環境が変わっても、生体を一定の状態に保とうとする調節機能です。細胞は環境の変化にとても敏感で、水分も体温も「多すぎても少なすぎても」生きられません。だからからだは、内部環境(=細胞をひたす細胞外液)のバランスが崩れないよう変化を素早くキャッチし、正常へ戻します。その主役が神経とホルモン。今日はこの二人三脚と、異物からからだを守る免疫のしくみを、いっしょに解き明かしましょう。
恒常性って言葉、試験だと難しく見えるけど——要は「からだが自動で"ちょうどいい"に戻す機能」のこと。暑い→汗をかいて熱を逃がす、寒い→血管を締めて熱を守る。全部これです。ポイントは調節の担当が2つあること。神経=速いけど短い、ホルモン=遅いけど長い。この「速さと持続」の対比さえ押さえれば、細かい表は後からついてきます。介護の現場でも、脱水・体温・血圧の異常って"恒常性が崩れたサイン"。だからこの単元は、暗記じゃなく利用者さんの体調変化を読む土台なんですよ。
皮膚の下の組織は細胞外液で満たされる。この細胞外液の状態を内部環境とよび、細胞が生きやすいように保たれる。
内部環境は浸透圧・pH・電解質・温度などが一定に保持される。細胞は変化に敏感で、ずれると活動が困難になる。
バランスが崩れないよう変化をすぐに感知し、環境を調節して正常な状態を維持する。この機能がホメオスタシス(恒常性)。
調節は神経による調節(即効性・緊急時)とホルモンによる調節(持続性)の2つ。互いに協力し合う。
ウイルスや細菌などの異物からからだを守る生体防御(免疫)も、内部環境を守るしくみの一つ。
ホメオスタシス(恒常性)とは、生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず、生体を一定の状態に保とうとする調節機能です。人のからだが外界と接するのは皮膚と粘膜。皮膚の下の組織は細胞外液で満たされ、この細胞外液の状態を内部環境とよびます。細胞が生存しやすいように、浸透圧・pH・電解質・温度などが一定に保持されています。細胞は環境変化に敏感で、体内の水分が多すぎても少なすぎても、体温が高すぎても低すぎても、生体を維持する活動が困難になります。
用語を分解します。内部環境=細胞をひたしている液(細胞外液)の状態のこと。ここが「浸透圧・pH・電解質・温度」でいつも一定、というのがミソ。細胞って超わがままで、環境が少しずれるともう働けない。だから体は必死に一定をキープする——それが恒常性です。国試では「内部環境=細胞外液」「恒常性=一定に保とうとする調節機能」の言い換えがそのまま問われます。定義の言葉、丸ごと覚えて損なし。
ホメオスタシスがはたらく作用は大きく2つ。一つは神経を使った調節、もう一つはホルモンによる調節です。電気信号の神経による調整は即効性があり緊急時にはたらき、血液を介したホルモンによる調整は効果が出るまでに時間がかかる分持続性があります。生体は神経とホルモンが互いに協力して、細胞が活動しやすい内部環境を維持しています。
| 調節のしくみ | 伝える手段 | 速さ・特徴 | はたらく場面 |
|---|---|---|---|
| 神経による調節 | 電気信号(神経) | 即効性がある(すばやい) | 緊急時にはたらく |
| ホルモンによる調節 | 血液を介したホルモン | 効果が出るまで時間がかかる分、持続性がある | ゆっくり長く維持する |
細胞の中にある水分。
細胞の外にある水分。組織のすきまを満たす組織液(間質液)と、血液の液体成分である血漿(けっしょう)などからなる。
本テキストのLesson 1では、皮膚の下を満たす細胞外液の状態=内部環境として扱う。細胞内液・細胞外液の区分は一般的な生理学の整理として補足。
知覚とそれに伴う運動にかかわる神経は体性神経で、「自分はどう動かしたいか」という意思が関係します。これに対し、自分の意思とは関係なく自律してはたらく神経が自律神経です。自律神経はさらに交感神経と副交感神経に分類されます。交感神経はからだを興奮させ闘争する態勢を整える作用があり、活動時や不安・怒り・ストレスなど緊張時にはたらきます。副交感神経はゆっくりからだを休ませエネルギーを蓄える作用があり、休息・リラックス時にはたらきます。内部環境はこの2つのバランスで一定に保たれ、どちらかだけがはたらくというものではありません。
| 器官・はたらき | 交感神経(活動時) | 副交感神経(休息時) |
|---|---|---|
| 心臓 | 脈拍が速い | 脈拍が遅い |
| 末梢血管 | 収縮する | 拡張する |
| 血圧 | 上昇する | 低下する |
| 瞳孔 | 拡大する | 縮小する |
| 胃腸 | 抑制される | 活発になる |
| 気管支 | 気管支が緩む | 気管支が収縮する |
| 発汗 | 亢進する | 低下する |
覚え方:交感神経=「戦う・逃げるモード」。脈拍↑・血圧↑・瞳孔拡大・発汗↑で、消化(胃腸)は後回し。副交感神経はその逆で「休むモード」。表は図表2-1-1より。
ホルモンは体内の内分泌腺でつくられ、血液中に分泌され、血流に乗って標的器官(目的とする組織や器官)に達し、その器官のはたらきを調節する特殊な化学物質です。主な作用は、代謝活動の調節/血液成分の恒常性維持/性と生殖/ほかのホルモンの分泌にかかわること。ホルモンの分泌を調節する中枢は、間脳にある視床下部(ししょうかぶ)です。
| 内分泌腺 | ホルモン | 主なはたらき |
|---|---|---|
| 脳下垂体前葉 | 成長ホルモン | 骨の発育やからだの成長を促進する |
| 脳下垂体後葉 | バソプレッシン | 腎臓で水の再吸収を促進する |
| 甲状腺 | チロキシン(サイロキシン) | 細胞の代謝を促進する |
| 副腎髄質 | アドレナリン | 血糖値を上げる |
| 膵臓 | インスリン | 血糖値を下げる |
| グルカゴン | 血糖値を上げる |
最重要:血糖値を下げるホルモンはインスリンだけ。上げるほうはアドレナリン・グルカゴンなど複数ある。バソプレッシン=水の再吸収(=尿を濃くする)もよく問われる。表は図表2-1-2より。
ホメオスタシスがどう動くかは、体温の調節で見るとよくわかります。体温が上がると、からだは発汗で熱を逃がし、皮膚の血管を拡張させて熱を放散し、体温を下げようとします。反対に体温が下がりすぎると、皮膚の血管を収縮させて熱を守り、体温を上げようとします。このように「ずれたら反対方向に戻す」しくみを負のフィードバックといい、内部環境を一定に保つ恒常性の基本です。
体温が上がる → 発汗・皮膚血管の拡張で熱を逃がす → 体温が下がって正常へ戻る、という「ずれを打ち消す」ループが負のフィードバック。逆に体温が下がりすぎたときは血管を収縮させて熱を守る。神経(発汗など)とホルモンが協力してはたらく。
人のからだには、ウイルスや細菌などの異物からからだを守るしくみがあり、これを生体防御といいます。生体防御には、異物を体内に侵入させないしくみ(皮膚や粘膜による物理的なしくみ)と、体内に侵入した異物を排除するしくみ(免疫)があります。免疫とは、自分のからだの成分である自己と、異物である非自己を識別し、非自己が侵入したときにこれを排除する機能です。大きく自然免疫(非特異的防御機構)と獲得免疫(特異的防御機構)に分けられます。
| 区分 | 自然免疫(非特異的防御機構) | 獲得免疫(特異的防御機構) |
|---|---|---|
| はたらく時 | 最初に病原体が侵入したときからはたらく | 成立には抗原の侵入後、数日かかる |
| 主役 | 好中球・単球(マクロファージ)が局所に集まり、病原体を貪食・処理 | 病原体を攻撃する細胞や物質を新たにつくる |
| 特徴 | 相手を選ばず排除。獲得免疫の成立にも重要な役割 | 出来事を記憶し、同じものには再感染しにくい(特異的に排除) |
| みられる範囲 | 広く生体にそなわる | ほ乳類など高等動物だけにみられる |
免疫と人への影響。① 感染症の予防=ワクチンは、あらかじめ病原性をなくしたり弱くした病原体を体内に入れ、免疫をつくることで病気を予防します。近年は病原体を使わず、ヒトの細胞の中で病原体のタンパクを作らせて免疫システムを活性化させる技術で製造されるものもあります。② 免疫反応の異常=免疫反応に異常が起きると、自分の身体を構成している成分を異物と誤認して組織や細胞を攻撃してしまうことがあります。その結果発症する疾患が自己免疫疾患です。
生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず、生体を一定の状態に保とうとする調節機能のこと。皮膚の下を満たす細胞外液の状態=内部環境を、浸透圧・pH・電解質・温度などの面で一定に保つ。変化を素早くキャッチして正常な状態へ戻す。担い手は神経(即効性)とホルモン(持続性)で、両者が協力して個体の生命を守っている。
Q1. ホメオスタシス(恒常性)の説明として、最も適切なものはどれ?
Q2. 交感神経がはたらいたとき(活動・緊張時)のからだの反応として、適切なものはどれ?
Q3. ホルモンと免疫に関する記述で、適切なものはどれ?