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人体の構造と機能 Lesson 1
01

生命の維持・恒常のしくみ

からだは、勝手に"ちょうどいい"を保っている

ホメオスタシス(恒常性)とは何か。内部環境=細胞外液が一定に保たれるしくみを軸に、神経による調節(交感・副交感)とホルモンによる調節、そして異物からからだを守る生体防御・免疫までを、国試で答えられる形に整理。

暑ければ汗が出る、寒ければ震える——「意識しなくても勝手に整う」その裏側に、神経とホルモンの精密な連携がある。丸暗記じゃなく"なぜそうなるか"でつかむページです。

アテナ様の導き

人のからだには、生命を維持するためのしくみが備わっています。その一つがホメオスタシス(恒常性)——外の世界や体内の環境が変わっても、生体を一定の状態に保とうとする調節機能です。細胞は環境の変化にとても敏感で、水分も体温も「多すぎても少なすぎても」生きられません。だからからだは、内部環境(=細胞をひたす細胞外液)のバランスが崩れないよう変化を素早くキャッチし、正常へ戻します。その主役が神経とホルモン。今日はこの二人三脚と、異物からからだを守る免疫のしくみを、いっしょに解き明かしましょう。

アテナ様の導き(本音モード)

恒常性って言葉、試験だと難しく見えるけど——要は「からだが自動で"ちょうどいい"に戻す機能」のこと。暑い→汗をかいて熱を逃がす、寒い→血管を締めて熱を守る。全部これです。ポイントは調節の担当が2つあること。神経=速いけど短い、ホルモン=遅いけど長い。この「速さと持続」の対比さえ押さえれば、細かい表は後からついてきます。介護の現場でも、脱水・体温・血圧の異常って"恒常性が崩れたサイン"。だからこの単元は、暗記じゃなく利用者さんの体調変化を読む土台なんですよ。

1枚でつかむ:生命維持のしくみ
内部環境(細胞外液)→ 変化を感知 → 神経&ホルモンで調節 → 免疫で守る
1

内部環境とは

皮膚の下の組織は細胞外液で満たされる。この細胞外液の状態を内部環境とよび、細胞が生きやすいように保たれる。

2

一定に保つもの

内部環境は浸透圧・pH・電解質・温度などが一定に保持される。細胞は変化に敏感で、ずれると活動が困難になる。

3

変化を素早くキャッチ

バランスが崩れないよう変化をすぐに感知し、環境を調節して正常な状態を維持する。この機能がホメオスタシス(恒常性)

4

2つの調節

調節は神経による調節(即効性・緊急時)ホルモンによる調節(持続性)の2つ。互いに協力し合う。

5

体内環境を守る

ウイルスや細菌などの異物からからだを守る生体防御(免疫)も、内部環境を守るしくみの一つ。

1. ホメオスタシス(恒常性)
内部環境=細胞外液を一定に保つ/神経とホルモンの2調節

ホメオスタシス(恒常性)とは、生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず、生体を一定の状態に保とうとする調節機能です。人のからだが外界と接するのは皮膚と粘膜。皮膚の下の組織は細胞外液で満たされ、この細胞外液の状態を内部環境とよびます。細胞が生存しやすいように、浸透圧・pH・電解質・温度などが一定に保持されています。細胞は環境変化に敏感で、体内の水分が多すぎても少なすぎても、体温が高すぎても低すぎても、生体を維持する活動が困難になります。

用語を分解します。内部環境=細胞をひたしている液(細胞外液)の状態のこと。ここが「浸透圧・pH・電解質・温度」でいつも一定、というのがミソ。細胞って超わがままで、環境が少しずれるともう働けない。だから体は必死に一定をキープする——それが恒常性です。国試では「内部環境=細胞外液」「恒常性=一定に保とうとする調節機能」の言い換えがそのまま問われます。定義の言葉、丸ごと覚えて損なし。

ホメオスタシスがはたらく作用は大きく2つ。一つは神経を使った調節、もう一つはホルモンによる調節です。電気信号の神経による調整は即効性があり緊急時にはたらき、血液を介したホルモンによる調整は効果が出るまでに時間がかかる分持続性があります。生体は神経とホルモンが互いに協力して、細胞が活動しやすい内部環境を維持しています。

調節のしくみ伝える手段速さ・特徴はたらく場面
神経による調節電気信号(神経)即効性がある(すばやい)緊急時にはたらく
ホルモンによる調節血液を介したホルモン効果が出るまで時間がかかる分、持続性があるゆっくり長く維持する

● 参考:体液の区分(一般的な整理)

細胞内液

細胞の中にある水分。

細胞外液(=内部環境)

細胞の外にある水分。組織のすきまを満たす組織液(間質液)と、血液の液体成分である血漿(けっしょう)などからなる。

本テキストのLesson 1では、皮膚の下を満たす細胞外液の状態=内部環境として扱う。細胞内液・細胞外液の区分は一般的な生理学の整理として補足。

2. 神経性の調節(自律神経)
交感神経と副交感神経のバランス

知覚とそれに伴う運動にかかわる神経は体性神経で、「自分はどう動かしたいか」という意思が関係します。これに対し、自分の意思とは関係なく自律してはたらく神経が自律神経です。自律神経はさらに交感神経副交感神経に分類されます。交感神経はからだを興奮させ闘争する態勢を整える作用があり、活動時や不安・怒り・ストレスなど緊張時にはたらきます。副交感神経はゆっくりからだを休ませエネルギーを蓄える作用があり、休息・リラックス時にはたらきます。内部環境はこの2つのバランスで一定に保たれ、どちらかだけがはたらくというものではありません。

器官・はたらき交感神経(活動時)副交感神経(休息時)
心臓脈拍が速い脈拍が遅い
末梢血管収縮する拡張する
血圧上昇する低下する
瞳孔拡大する縮小する
胃腸抑制される活発になる
気管支気管支が緩む気管支が収縮する
発汗亢進する低下する

覚え方:交感神経=「戦う・逃げるモード」。脈拍↑・血圧↑・瞳孔拡大・発汗↑で、消化(胃腸)は後回し。副交感神経はその逆で「休むモード」。表は図表2-1-1より。

3. ホルモンによる調節
内分泌腺でつくられ、血流で標的器官へ

ホルモンは体内の内分泌腺でつくられ、血液中に分泌され、血流に乗って標的器官(目的とする組織や器官)に達し、その器官のはたらきを調節する特殊な化学物質です。主な作用は、代謝活動の調節/血液成分の恒常性維持/性と生殖/ほかのホルモンの分泌にかかわること。ホルモンの分泌を調節する中枢は、間脳にある視床下部(ししょうかぶ)です。

内分泌腺ホルモン主なはたらき
脳下垂体前葉成長ホルモン骨の発育やからだの成長を促進する
脳下垂体後葉バソプレッシン腎臓で水の再吸収を促進する
甲状腺チロキシン(サイロキシン)細胞の代謝を促進する
副腎髄質アドレナリン血糖値を上げる
膵臓インスリン血糖値を下げる
グルカゴン血糖値を上げる

最重要:血糖値を下げるホルモンはインスリンだけ。上げるほうはアドレナリン・グルカゴンなど複数ある。バソプレッシン=水の再吸収(=尿を濃くする)もよく問われる。表は図表2-1-2より。

4. 恒常性の実例:体温の調節(負のフィードバック)
上がりすぎたら下げ、下がりすぎたら上げる

ホメオスタシスがどう動くかは、体温の調節で見るとよくわかります。体温が上がると、からだは発汗で熱を逃がし、皮膚の血管を拡張させて熱を放散し、体温を下げようとします。反対に体温が下がりすぎると、皮膚の血管を収縮させて熱を守り、体温を上げようとします。このように「ずれたら反対方向に戻す」しくみを負のフィードバックといい、内部環境を一定に保つ恒常性の基本です。

負のフィードバック 内部環境を一定に保つ ① 体温が上がる ② 発汗・皮膚血管の 拡張で熱を逃がす ③ 体温が下がる(正常へ) ④ 変化を感知し 次の調節へ

体温が上がる → 発汗・皮膚血管の拡張で熱を逃がす → 体温が下がって正常へ戻る、という「ずれを打ち消す」ループが負のフィードバック。逆に体温が下がりすぎたときは血管を収縮させて熱を守る。神経(発汗など)とホルモンが協力してはたらく。

5. 体内環境を守るしくみ(生体防御・免疫)
自然免疫と獲得免疫/ワクチン/自己免疫疾患

人のからだには、ウイルスや細菌などの異物からからだを守るしくみがあり、これを生体防御といいます。生体防御には、異物を体内に侵入させないしくみ(皮膚や粘膜による物理的なしくみ)と、体内に侵入した異物を排除するしくみ(免疫)があります。免疫とは、自分のからだの成分である自己と、異物である非自己を識別し、非自己が侵入したときにこれを排除する機能です。大きく自然免疫(非特異的防御機構)獲得免疫(特異的防御機構)に分けられます。

区分自然免疫(非特異的防御機構)獲得免疫(特異的防御機構)
はたらく時最初に病原体が侵入したときからはたらく成立には抗原の侵入後、数日かかる
主役好中球・単球(マクロファージ)が局所に集まり、病原体を貪食・処理病原体を攻撃する細胞や物質を新たにつくる
特徴相手を選ばず排除。獲得免疫の成立にも重要な役割出来事を記憶し、同じものには再感染しにくい(特異的に排除)
みられる範囲広く生体にそなわるほ乳類など高等動物だけにみられる

免疫と人への影響。① 感染症の予防ワクチンは、あらかじめ病原性をなくしたり弱くした病原体を体内に入れ、免疫をつくることで病気を予防します。近年は病原体を使わず、ヒトの細胞の中で病原体のタンパクを作らせて免疫システムを活性化させる技術で製造されるものもあります。② 免疫反応の異常=免疫反応に異常が起きると、自分の身体を構成している成分を異物と誤認して組織や細胞を攻撃してしまうことがあります。その結果発症する疾患が自己免疫疾患です。

WORD:ホメオスタシス(恒常性)
国試で問われる用語

生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず、生体を一定の状態に保とうとする調節機能のこと。皮膚の下を満たす細胞外液の状態=内部環境を、浸透圧・pH・電解質・温度などの面で一定に保つ。変化を素早くキャッチして正常な状態へ戻す。担い手は神経(即効性)とホルモン(持続性)で、両者が協力して個体の生命を守っている。

試験に出るところ
本音でまとめる
理解度チェック
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Q1. ホメオスタシス(恒常性)の説明として、最も適切なものはどれ?

正解はB。ホメオスタシス(恒常性)は、生体の内部や外部の環境因子が変化しても、内部環境(細胞外液の状態)を浸透圧・pH・温度などの面で一定に保とうとする調節機能です。AとCは恒常性そのものの説明ではありません。

Q2. 交感神経がはたらいたとき(活動・緊張時)のからだの反応として、適切なものはどれ?

正解はC。交感神経は「活動・闘争モード」で、脈拍が速くなり血圧が上昇、瞳孔が拡大し、発汗も亢進します。胃腸のはたらきは抑制されます。AとBは副交感神経(休息時)の反応です。

Q3. ホルモンと免疫に関する記述で、適切なものはどれ?

正解はB。獲得免疫(特異的防御機構)は、侵入した病原体を攻撃する細胞や物質をつくり、その出来事を記憶して、同じものには再感染しにくくする防御機構です。Aは逆で、血糖値を下げるのはインスリン(グルカゴンは上げる)。Cのホルモン分泌の中枢は小脳ではなく、間脳にある視床下部です。
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