ホルモンをつくる内分泌腺(下垂体・甲状腺・副腎・膵臓など)とそのはたらき、男性・女性生殖器のしくみ、そして「自分」と「自分でないもの」を見分ける免疫のしくみ(自然免疫と獲得免疫・白血球・抗体)を、国試で答えられる形に整理。
血糖値、更年期、風邪をひく・治る——ぜんぶ内分泌と免疫の話。糖尿病やワクチンの理解にも直結する、現場で効く1枚です。
内分泌系は、ホルモンという化学物質をつくって血液中に放出し、離れた器官のはたらきを静かに調える系です。生殖器系は、生命を生み出す役割とともに、女性ホルモン・男性ホルモンを分泌する内分泌の一面ももっています。そして免疫系は、外から入ってきた抗原を「自分でないもの」と見分けて排除するしくみ。生まれつき備わる自然免疫と、感染して身につく獲得免疫——この三つの系は、どれも「見えないところで生活を守る力」ですわ。ひとつずつ、対応関係を取り違えないように押さえていきましょう。
この単元、暗記量が多くて心が折れやすいところ。でもね、全部現場と地続きなんです。インスリンが出なきゃ血糖が下がらない=糖尿病。甲状腺ホルモンが乱れると元気が出たり出なかったり。免疫が落ちれば感染症、暴走すればアレルギー。「どの腺が・どのホルモンを・どう働かせるか」さえ結びつけば、利用者さんの体調変化が読めるようになります。表を丸暗記じゃなく、「インスリン=膵臓=血糖を下げる」みたいに三点セットで覚えるのがコツですよ。
下垂体・甲状腺・副腎・膵臓などの内分泌腺が、導管を通さず分泌物を直接血液中へ放出する。
放出されたホルモンは血流に乗り、離れた標的器官・標的細胞に作用してはたらきを調整する。
精子・卵子をつくって生命を生み、同時に男性ホルモン・女性ホルモンを分泌する内分泌の役割ももつ。
白血球などの免疫細胞が「自分」と「自分でないもの」を識別し、抗原(細菌・ウイルス)から体を守る。
まず自然免疫が幅広く即対応。すり抜けた相手には、記憶して特異的に働く獲得免疫が対応する。
内分泌系は、ホルモンをつくって分泌することで、からだのさまざまな機能を調節・制御する腺や器官の集まりです。内分泌とは、導管(排出管)を通さず、分泌物を直接血液中に放出すること。導管をもたない分泌腺を内分泌腺といい、内分泌腺でつくられて放出される分泌物をホルモンといいます。ホルモンは血流に乗って標的器官・標的細胞に達し、そのはたらきを調整します。
ポイントは「導管があるかどうか」。汗や消化液のように管を通して出すのが外分泌、管を使わず血液へ直接放出するのが内分泌です。だからホルモンは全身どこにでも届く。少量でも遠くの器官を動かせるのが強みで、その分バランスが崩れると全身に影響が出ます。「導管なし=内分泌=ホルモン」——ここが土台です。
主な内分泌腺には、下垂体・甲状腺・副甲状腺(上皮小体)・副腎・膵臓・性腺などがある。それぞれが固有のホルモンをつくる(次の表)。
主な内分泌腺のおおよその位置を示した模式図(オリジナル図・実際の解剖の縮尺とは異なる)。下垂体は脳の底、甲状腺は首、副腎は左右の腎臓の上、膵臓は上腹部、性腺は下腹部にある。
国試では「腺」と「ホルモン」と「はたらき」の対応が問われます。とくにインスリン=膵臓=血糖を下げるは頻出。取り違えやすいので、下の表で三点セットにして覚えましょう。
| 内分泌腺 | 主なホルモン | おもなはたらき(国試ポイント) |
|---|---|---|
| 下垂体(前葉) | 成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、乳腺刺激ホルモン | 成長を促し、ほかの内分泌腺を刺激して司令塔のように全体を調整 |
| 下垂体(後葉) | オキシトシン、抗利尿ホルモン(バソプレシン) | 子宮収縮・射乳、尿量を減らして体内の水分を保つ |
| 甲状腺 | サイロキシン、トリヨードサイロキシン、カルシトニン | 全身の代謝を高める。カルシトニンは血中カルシウムを下げる |
| 副甲状腺(上皮小体) | パラソルモン | 血中カルシウム濃度を上げる(カルシトニンと逆の作用) |
| 膵臓(ランゲルハンス島) | インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン | インスリン=血糖を下げる/グルカゴン=血糖を上げる(不足で糖尿病) |
| 副腎(皮質) | 糖質コルチコイド、電解質コルチコイド | 糖・電解質・水分の代謝を調整。抗ストレス・抗炎症にかかわる |
| 副腎(髄質) | アドレナリン、ノルアドレナリン | 心拍・血圧を上げ、血糖を上げる。緊張・興奮時にはたらく |
| 性腺(女性=卵巣) | エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン) | 女性らしいからだと月経・妊娠の調整 |
| 性腺(男性=精巣) | テストステロン | 男性らしいからだの発育を促す |
カルシウムに注目:カルシトニン(甲状腺)=下げる、パラソルモン(副甲状腺)=上げる。血糖に注目:インスリン=下げる、グルカゴン・アドレナリン=上げる。方向がよく問われる。
生殖器系は、からだの成熟と生命の誕生の役割を担い、ほかの器官と比べて構造・機能の男女差が大きいのが特徴です。生殖器は生殖細胞(精子・卵子)をつくる一方で、性ホルモンを分泌する内分泌の役割ももっています。
女性ホルモンの卵胞ホルモン=エストロゲン、黄体ホルモン=プロゲステロン。前の表の「性腺」とつながる(別名で問われることがある)。
免疫とは、からだの外から侵入した抗原(細菌やウイルスなど)に対して、免疫細胞などが「自分」と「自分でないもの」を識別し、からだを守るしくみです。免疫には、もともと備わっている自然免疫と、一度感染するとできる獲得免疫があります。
免疫の合言葉は「自分か、自分でないか」。外から来た敵(抗原)を見分けて叩くのが仕事です。生まれつき持ってる守り=自然免疫、感染して覚えた守り=獲得免疫。ワクチンは、この獲得免疫の「覚える力」を安全に使う仕組みなんですよ。
血管外に出てマクロファージとなり、侵入した有害物質を食べて(食作用)消化・殺菌。感染を他の細胞に知らせる。
B細胞・T細胞・NK細胞。病原体を記憶し抗体をつくる、獲得免疫の主役。
好酸球・好中球・好塩基球。好中球は食作用で異物を排除する。
| 比較 | 自然免疫(非特異的防御機構) | 獲得免疫(特異的防御機構) |
|---|---|---|
| 備わり方 | 生まれつき備わっている | 一度感染して身につく(後天的) |
| 反応の速さ | 直ちにはたらく | やや遅れるが、二度目は記憶ですぐ反応 |
| 見分け方 | 病原体に共通する特徴を幅広く認識(非特異的) | 特定の抗原をピンポイントで認識(特異的) |
| おもな担い手 | 好中球・樹状細胞・マクロファージの食作用、NK細胞の攻撃 | リンパ球(B細胞・T細胞) |
| 記憶 | 基本的に記憶しない | 免疫記憶がある(次の侵入に備える) |
獲得免疫は、リンパ球のはたらきの違いから体液性免疫と細胞性免疫に分けられます。体液性免疫は、B細胞が分泌した抗体が血液や組織液によってはこばれ、間接的に抗原を攻撃する反応。細胞性免疫は、T細胞(キラーT細胞)が全身を循環し、ウイルス・細菌に感染した細胞やがん細胞などを直接攻撃して排除する反応です。
免疫系を構成するリンパ系には、胸腺・骨髄・脾臓・扁桃・虫垂・小腸のパイエル板などがある。リンパ節は全身にあり、とくに頸部・鼠径部に集まる。
ホルモンとは、特定の内分泌腺(内分泌器官)から微量に産生される特殊な化学物質。導管を通さず直接血液中に分泌され、血流に乗って標的器官・標的細胞に達し、そのはたらきを調整する。遠く離れた場所にある細胞にも作用できるのが特徴で、たとえばインスリン(膵臓)は血糖を下げ、抗体とは別物(抗体は免疫でB細胞がつくるタンパク質)。用語の混同に注意する。
Q1. ホルモンとその作用の組み合わせで、正しいものはどれ?
Q2. 内分泌のしくみに関する記述で、適切なものはどれ?
Q3. 免疫に関する記述で、適切なものはどれ?