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生活支援技術Ⅱ・第1章 Lesson 2-①
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杖を用いた歩行介助

「杖→患側→健側」を順番ごと身体で覚える

平地・障害物・階段、それぞれの足の運びと、杖の長さ・介助位置を国試で答えられる形に整理。

理屈で覚えるより、「弱い足を、杖と健側で挟む」感覚で覚えるとブレません。

アテナ様の導き

杖歩行のキモは「患側(弱い側)をどう守るか」です。平地と階段で順番が変わるのは、常に弱い側に体重を一人で乗せないようにするためです。介護職は患側の後ろ(または前)に立ち、腕と腰を支えます。原則がわかれば、暗記ではなく納得で答えられます。

アテナ様の導き(本音モード)

杖歩行、ルールが多くて頭に入りにくいですよね。コツは1つだけ。「弱い側(患側)を、杖と健側でサンドイッチする」。これだけで、平地も階段も自然に順番が思い出せます。三動作と二動作の違いも、「弱い側に体重を乗せる時間が長い=安定/短い=速い」と直感的に覚えられます。

1枚でつかむ:杖歩行の原則
弱い側を守るための、4つの基本ルール
1
🩹

杖は健側で持つ

杖は麻痺のない手に持つ。患側の負担を分散させるため。

2
📐

長さは大転子部

床から大転子の高さ。肘が30°曲がる程度。

3
🧍

介護職は患側

利用者の患側に立つ。後ろ(上り)か前(下り)で位置を変える。

4
🔁

順番に意味がある

平地と階段で順番が違う。常に患側を支える側で発想する。

1. 平地歩行
三動作・二動作・障害物の3パターン

平地での杖歩行には三動作歩行二動作歩行があります。違いは「杖と患側を同時に出すかどうか」。三動作は安定・低速二動作はやや不安定・速いのがポイントです。

① 三動作歩行(安定型)

足の運び(3ステップ)
患側健側

特徴

  • 各動作を1つずつ独立して行う
  • 体重移動が3段階に分かれる
  • 速度は遅いが安定性が高い

適応

  • 歩行訓練の初期
  • バランスに不安がある人
  • 転倒リスクが高い高齢者

② 二動作歩行(速度型)

足の運び(2ステップ)
患側健側

特徴

  • 杖と患側を同時に前へ
  • 体重移動が2段階で速い
  • 三動作より不安定になりやすい

適応

  • 歩行が安定してきた段階
  • 速度を出したい場合
  • 三動作で慣れた後にステップアップ

③ 障害物があるとき(側溝など)

側溝や段差などの障害物があるときは、障害物の前で足を揃え杖を障害物の向こう側につき、その後杖→患側→健側の順でまたぎます。無理な歩幅にならないように注意します。

障害物のまたぎ方
足を揃える杖を向こう側に患側でまたぐ健側でまたぐ

⚠ 注意

無理に大きくまたごうとするとバランスを崩しやすい。歩幅は普段の歩行と同じくらいに保つ。

三動作と二動作、覚え方は「3=遅くて安定/2=速くて不安定」でOK。試験で「速度が速いのはどっち?」と聞かれたら二動作、「転倒しにくいのは?」なら三動作。これだけ。

2. 階段昇降
上りと下りで順番が変わる理由

階段では上りと下りで足の運びが逆になります。理由はシンプル。強い側(健側)が体を持ち上げる/持ち下げる側になるからです。上りでは健側が先に上の段に乗って体を引き上げる。下りでは患側が先に下の段に降りて、健側が体重を支えながら下りる。

階段を上るとき

健側患側
  • 介護職は利用者の患側・後方で段をまたいで立つ
  • 利用者は杖を上段につく
  • 次に健側の足から階段を上る
  • 最後に患側の足を揃える

階段を下りるとき

患側健側
  • 介護職は利用者の患側・前方で段をまたいで立つ
  • 利用者は杖を下段につく
  • 次に患側の足から階段を下りる
  • 最後に健側の足を揃える

覚え方の決定版:「上りは健康(健側)から、下りは患者(患側)から」。上りは強い足で持ち上げる、下りは弱い足を先に降ろして強い足で支える。日本語のゴロでも体感でも一致するので、これ1本で記憶してOK。

3. 介護職の位置と支え方
「患側を守る」が全ての基本

介護職は利用者の患側に立ちます。場面によって前後の位置を変えます。一方の手で患側のを支え、もう一方の手はに添えて身体を支えます。

平地歩行時

患側の斜め後ろ・半歩に位置。利用者の歩幅に合わせて並走する。

階段を上るとき

患側の後方で段をまたぐ。万一バランスを崩しても支えられる位置。

階段を下りるとき

患側の前方で段をまたぐ。前方へ転倒するリスクに備える。

⚠ ポイント

上り=後ろ/下り=前」と覚える。万が一倒れる方向に介護職が位置するのが原則。上りは後ろに倒れるリスク、下りは前に倒れるリスクが高いため。

4. 杖の長さの決め方
大転子・手首・15cm・30° の4つの数字

杖の長さは大転子部の高さが目安。靴を履いてまっすぐ立った状態で、健側の手を伸ばして手首から3〜4cm上のあたりが、ちょうど大腿骨の大転子部になります。さらに、足の小指の前方・外側に杖先を15cm離してついたとき、肘が30°曲がる長さが良いとされています。

📏
3〜4cm
手首より上
健側の手を伸ばして、手首から3〜4cm上の位置
📍
15cm
小指から離す
足の小指の前方・外側に杖先を15cm離してつく
📐
30°
肘の角度
杖をついたときに肘が約30°曲がる長さ

⚠ 例外:腰の曲がった高齢者の場合

腰が曲がった姿勢の利用者では、曲がった姿勢のままで杖の長さを決めます。まっすぐ立たせて測ると、実際の歩行時に長すぎてしまうため。

数字3つ(3〜4cm/15cm/30°)を覚えるのは正攻法ですが、現場感覚は「大転子の高さ」1つでOK。これさえ覚えておけば、利用者の前に立った瞬間に「だいたいこの辺かな」と当たりがつけられます。

5. 三動作 vs 二動作 まとめ表
違いを一覧で確認
項目三動作歩行二動作歩行
足の運び杖 → 患側 → 健側(3ステップ)杖+患側 → 健側(2ステップ)
速度遅い速い
安定性高い(転倒しにくい)やや不安定(転倒注意)
適応歩行初期、バランス不安、転倒リスク高歩行が安定してきた段階
段階基本形(最初に習得)ステップアップ
試験に出るところ
本音でまとめる
理解度チェック
押すと答えが出ます

Q1. 三動作歩行の足の運びとして正しいのはどれ?

正解はA。三動作歩行は「杖 → 患側 → 健側」の3ステップ。安定性が高く、歩行訓練の初期に用います。

Q2. 杖を用いて階段を下りるときの足の運びとして正しいのはどれ?

正解はB。下りは「杖 → 患側 → 健側」。患側を先に下ろし、健側で体重を支えながら下りるため。覚え方は「下りは患者から」。

Q3. 杖を用いて階段を上るとき、介護職が立つ位置として最も適切なのはどれ?

正解はC。上るときは患側の後方に立つ。万が一バランスを崩したときに後方へ転倒するリスクに備えるためです。下りは患側の前方になります。

Q4. 杖の長さの目安として正しいのはどれ?

正解はA。健側の手を伸ばして手首から3〜4cm上、足の小指から15cm離して肘が30°曲がる長さ。これがちょうど大転子部の高さになります。
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