5種類の杖の特徴・適応・介護保険貸与の対象を、国試で答えられる形に整理。
T字杖は最もよく見るのに貸与対象外。ここを知らないと国試で1問落とします。
杖は歩行を補助し、患側下肢にかかる体重を分散させる道具です。さらに支持基底面積を広げ、バランスを保ち、歩き方や速度を整えるはたらきもあります。種類は5つ。「支持面積が広い=安定/前腕で支える=筋力が弱くても使える」と整理して覚えましょう。介護保険の貸与対象からT字杖だけ外れているのが最大のひっかけポイントです。
T字杖って一番ポピュラーな杖ですよね。だから「介護保険でレンタルできる」と思い込みやすい。でも実はT字杖だけ貸与対象外です。「使いやすくて安いものは自分で買ってね」という建付け。体重を強く預けないと使えない多点杖・ロフストランド・プラットホームは貸与OK。この線引きが国試の急所です。
※T字杖だけ介護保険の福祉用具貸与の対象外。残り4種類は貸与対象。
杖は単に「歩く助け」ではありません。具体的には次の3つのはたらきを持ちます。
患側下肢にかかる体重を杖と健側で受け止め、痛みや負担を減らす。
立っている範囲を広げ、バランスを保ちやすくする。転倒を予防する。
歩き方・速度を整え、必要に応じて体勢を立て直す支えになる。
比較的少ない支持で歩行できる場合に適しています。体重の支持、不安・疲労の軽減、バランスを崩したときの支えとして使います。
T字杖は普及度が高く価格が比較的安価で、利用者本人で購入しやすいため、介護保険の貸与対象から除外されています。試験では「最もよく使われる杖だから貸与対象である」のような誘導文に注意。
T字杖に比べて速度は遅くなるものの、支持面積が広く安定度が高いのが特徴です。バランスを崩しやすい人に向いています。
多点杖をさらに大型化したような形状で、歩行器に近い安定性を持ちます。多点杖と同じく、安定優先・速度低下のグループです。
握りと前腕の2か所で支えるため、上肢の力を有効に使えます。手首・前腕の両方で杖を保持できるので、腕の筋力が弱い場合にも有効です。
前腕全体を台(プラットホーム)に乗せて体重を支える杖です。手指や手関節に強い負担をかけられない人、肘関節に伸展制限がある人に使います。
| 杖の種類 | 特徴 | 主な適応 | 介護保険貸与 |
|---|---|---|---|
| T字杖 | 最も普及。少ない支持で歩ける人向き | 軽度の歩行不安・疲労軽減 | 対象外 |
| 多点杖 | 3〜4点支持で安定度高い・速度は遅い | バランスを崩しやすい人/片麻痺の歩行訓練 | 対象 |
| ウォーカーケイン | 歩行器型・支持面積が広い | バランス不安・歩行訓練 | 対象 |
| ロフストランド・クラッチ | 握り+前腕の2点支持(前腕固定型) | 上肢の力が弱い人・腕の筋力低下 | 対象 |
| プラットホームクラッチ | 前腕全体を台に乗せる(前腕支持型) | 関節リウマチ・肘関節伸展制限 | 対象 |
選定の際は、利用者の免荷の程度や手の機能に合わせます。さらに、丈夫であること、軽いこと、デザインに優れている(障害の部位・程度に適した形)ことも選定の条件になります。
※免荷(めんか)=骨折や捻挫などで、患部に体重をかけないこと。治癒に伴い免荷の程度は小さくなる。
どれだけ体重を分散する必要があるか
握力・手指・手関節・肘関節の状態
毎日使うため耐久性と取り回し
障害の部位・程度に適した形状/本人の好み
選び方で見落としがちなのが「デザイン」。本人が「これは持ちたくない」と感じる杖は、結局使ってもらえません。機能だけでなく、利用者が外に出たくなる杖を一緒に選ぶ視点を、介護職は持っておきたいです。最近のT字杖はファッション性に富んだ製品もたくさんあります。
Q1. 介護保険の福祉用具貸与の対象外となる杖はどれ?
Q2. 関節リウマチで手指・手関節に強い負担をかけられない利用者に最も適切な杖はどれ?
Q3. ロフストランド・クラッチの特徴として正しいのはどれ?
Q4. 杖を選定するときの条件として、適切でないものはどれ?