感覚とは何か、という基本から出発し、視覚器(目)・聴覚と平衡感覚器(耳)・嗅覚器・味覚器・皮膚感覚器のしくみを、部位の名称とはたらきまで、国試で答えられる形に整理。
「見えにくい」「聞こえにくい」——その一言の裏で、暮らしも安全も静かに削られていく。五感のしくみを知ることは、相手の世界を想像する力になります。
感覚とは、からだで受けた刺激を認識するはたらきのこと。刺激を受け取る受容器が、末梢神経を通して脳(中枢神経)に伝えることで、はじめて「見えた」「聞こえた」と感じられます。感覚は体性感覚・内臓感覚・特殊感覚の3つに大別され、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・平衡覚といった特殊感覚は、目や耳など特定の器官が担当します。目と耳、それぞれの部位の名称とはたらきを、一つひとつ味方につけていきましょうね。
感覚器の話は暗記科目に見えて、じつはケアの想像力そのものです。目が見えにくい方は段差が怖い、耳が聞こえにくい方は呼びかけに気づけない、味覚が鈍ると食が細る——ぜんぶ生活と安全に直結します。角膜・水晶体・網膜、外耳・中耳・内耳……部位の名前は「どこがどう困っているか」を言葉にするための道具。丸暗記じゃなく、相手の見えている世界・聞こえている世界を想像するために覚えていきましょう。
空気の振動=音を耳介で集め、外耳道を通して奥の鼓膜へ送る。
外耳道の奥にある膜。音の振動を受けてふるえる(振動する)。
ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨の3つ。鼓膜の振動を拡大してアブミ骨から内耳へ伝える。
リンパ液で満たされたうずまき管。有毛細胞が振動を電気信号に変換する。
電気信号が蝸牛神経を通って脳に達し、「音」として認識される。
からだで受ける刺激を認識するはたらきを感覚といいます。感覚は、刺激を受けた受容器が末梢神経を介して中枢神経(脳)に伝えることで感じられます。刺激の受け皿となるのが受容器です。感覚は体性感覚・内臓感覚・特殊感覚の3つに大別されます。
まず流れを1本で覚えます。刺激 → 受容器 → 末梢神経 → 中枢神経(脳)。この「受容器で受けて、神経が脳へ運ぶ」がすべての感覚に共通する型です。そして感覚は3グループ。体性感覚(皮膚・筋)は全身、内臓感覚は内臓、特殊感覚(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・平衡)は目や耳など特定の場所——「どこに受容器があるか」で覚えると混ざりません。
| 分類 | 含まれる感覚 | 受容器の分布 |
|---|---|---|
| 体性感覚 | 皮膚感覚・筋感覚 | 受容器がからだ全体に分布 |
| 内臓感覚 | 内臓痛覚・臓器感覚 | 受容器が内臓に分布 |
| 特殊感覚 | 視覚・聴覚・嗅覚・味覚・平衡覚 | 受容器がそれぞれの特定の部位に限局 |
| 感覚 | 感覚器 | 受容する細胞・はたらき |
|---|---|---|
| 視覚 | 眼 | 視細胞が光学受容器。形・大きさ・色・つや・キメなどを識別 |
| 聴覚 | 耳 | 有毛細胞が機械受容器。音を感じ、音楽を鑑賞することもできる |
| 嗅覚 | 嗅粘膜 | 嗅細胞が化学受容器。花の香りや焦げ臭さなどを感じ区別する |
| 味覚 | 味蕾(みらい) | 味細胞が化学受容器 |
| 平衡覚 | 耳 | からだが動いているときや、重力に対して傾いた状態を察知する |
「視覚と味覚=形が違う受容器」「聴覚と平衡覚=どちらも耳」がポイント。嗅覚・味覚は化学受容器、視覚は光、聴覚は機械(振動)と、刺激の種類でも整理できる。
視覚器は、眼球と副眼器からなります。眼球は左右の頭蓋骨の眼窩(がんか)の中にあり、後部には視神経がつながっています。眼球から入った光の刺激を網膜が映像としてとらえ、視神経によって脳へ伝達され、物体として認識されます。副眼器は、まぶたやまつ毛など眼球の保護・補助を担う器官です。
オリジナル模式図:光は左の角膜から入り、虹彩が瞳孔の大きさで光量を調節。水晶体が厚みを変えてピントを合わせ、硝子体を通って後方の網膜に像を結び、視神経から脳へ送られる。強膜は眼球を覆う白い外壁(白目)。
| 部位 | はたらき |
|---|---|
| 角膜 | 眼球の黒目の部分にある透明な膜。外の光をとり入れる「窓」となる |
| 虹彩・瞳孔 | 虹彩は角膜を通して見える茶目の部分で、中心に瞳孔がある。瞳孔は光の通り道で、虹彩が瞳孔の大きさを調節して眼に入る光の量を加減する |
| 水晶体 | 両凸レンズの形。毛様体筋によって厚さを変え、網膜に映る像のピントを合わせる |
| 毛様体 | 水晶体の周りを取り囲み、水晶体を支える。毛様体筋が水晶体の厚みを変え、光の屈折を変えてピントを調整する |
| 硝子体 | ゼリー状の物質で、網膜への光の通り道。眼球の大部分を占め、眼球内圧を保つ |
| 網膜 | 脈絡膜の内側にあり、カメラのフィルムに相当。光の情報を捉える視細胞と視神経があり、映像が視神経から脳の視覚中枢へ送られる |
| 黄斑部・中心窩 | 網膜の中央で視細胞が密集し、ものを見るのに最も重要な部分。中心を中心窩といい、視覚が最も敏感 |
| 強膜・脈絡膜 | 強膜は白目に当たる不透明な白い膜。脈絡膜は強膜の内側にあり、眼球を包み込む |
房水は毛様体から後房に分泌されて前房へ流れ、眼圧を保ちつつ角膜や水晶体に栄養を与える。前房=角膜と虹彩の間、後房=虹彩と水晶体の間で、いずれも房水で満たされる。
聴覚・平衡感覚器は、聴覚と平衡感覚をつかさどる耳の器官で、外耳・中耳・内耳からなります。空気の振動の波が耳に入って鼓膜を揺り動かし、その振動が蝸牛で電気信号に変わり、蝸牛神経を伝わって脳(聴覚野)に達し、音として認識されます。内耳は平衡感覚器の主要部でもあり、前庭と三半規管がからだの傾きや動きを感受しています。
オリジナル模式図:外耳(耳介・外耳道)で音を集め、中耳の鼓膜と耳小骨(ツチ・キヌタ・アブミ骨)が振動を拡大。内耳の蝸牛が音を電気信号に変え、前庭・三半規管が平衡感覚を担う。耳管は中耳の気圧を調節する。
| 区分 | 主な構造 | はたらき・国試ポイント |
|---|---|---|
| 外耳 | 耳介/外耳道 | 耳介で音を集め、外耳道で奥の鼓膜へ導く。外耳道は成人で長さ約2.5cm・直径約0.6cm、側頭骨まで達する。耳道腺が耳垢を分泌 |
| 中耳 | 鼓膜/耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨) | 空気を入れた空間で側頭骨の中にある。ツチ骨とキヌタ骨が鼓膜の振動を拡大し、アブミ骨に伝える。アブミ骨は前庭窓にはまる |
| 内耳 | 蝸牛/前庭/半規管(三半規管) | リンパ液で満たされる。蝸牛が音の振動を電気信号に変え蝸牛神経へ。前庭と三半規管が平衡感覚を担う |
平衡感覚のしくみ:平衡感覚は前庭と三半規管が担当し、からだがどのくらいの速さで、どの方向に、どれくらい傾いているかなどの情報を感知して、体位やバランスを保っています。乗り物酔いやめまいは、この平衡感覚と関係が深い部分です。
嗅覚器はにおいを感じる器官で、鼻腔の上部(鼻の奥の天井部分)に嗅細胞があります。においの粒子が鼻腔の粘膜に生えた嗅毛を刺激すると電気信号が生じ、嗅球を経て脳(嗅覚野)に達してにおいを認識します。同じにおいが長く続くと慣れて反応しなくなる性質を順応といいます。
味覚器は味を感じる器官で、舌の表面には舌乳頭が多数あり、そこに味蕾(みらい)が分布しています(一部は軟口蓋や頬の内側にも)。味蕾にある味細胞が食べ物の化学物質を感じると電気信号が生じ、脳(味覚野)に達して味を認識します。基本の味は甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の5つ。食べ物の温度や舌触りも、感じる味を強めたり弱めたりします。
皮膚感覚器:皮膚感覚には触覚・圧覚・痛覚・温覚・冷覚があります。皮膚より深部(皮下・筋肉・骨膜や関節)の受容器に刺激が加わるものは深部感覚といいます。腹痛のときにお腹をさすると痛みが軽くなることがありますが、これは皮膚感覚と内臓感覚の神経の末端が相互に接触しているため、脳が内臓の痛みを皮膚の痛みと勘違いして、腹痛が軽減する現象といわれています。
内耳にある、互いに直交する3つの半円状の管。前庭とともに平衡感覚をつかさどり、からだの回転や傾き、動く速さと方向を感知して、体位やバランスを保つはたらきをする。内部はリンパ液で満たされ、その動きを有毛細胞が感じ取る。音を電気信号に変える蝸牛(聴覚)と、平衡を担う前庭・三半規管は、いずれも内耳にある——ここが混同されやすい要注意ポイント。
Q1. 眼球の部位とはたらきの組み合わせで、最も適切なものはどれ?
Q2. 耳の構造に関する記述で、適切なものはどれ?
Q3. 平衡感覚に関する記述で、適切なものはどれ?