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生活支援技術Ⅱ・第1章 Lesson 2-⑤
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車いすの移乗・移動の介助

「下りは必ず後ろ向き」が国試の急所

ベッド⇔車いす移乗・平地・坂道・段差を、国試で答えられる形に整理。Lesson 2の最終回。

坂道も段差も「下る方向=後ろ向き」。直感に反するから国試で狙われます。

アテナ様の導き

車いす介助のキモは4つだけ。①移乗は健側に車いす/②ベッドと車いすは15〜20°(斜方接近法)/③下り坂は後ろ向き/④段差は直角に近づく。この4つを核に、利用者の安全を守る動き方が組み立てられます。前向きで下ると利用者は前のめりになって恐怖を感じます。「下る=後ろ向き」を体に染み込ませましょう。

アテナ様の導き(本音モード)

車いすって普通に押せばいいと思いがちですが、坂を下るときに前向きで押すのは大事故のもと。スピードが出る・恐怖がある・止められない、で三重苦です。段差も同じで、下りるときは必ず後ろ向き。直感に反するから新人さんはよく間違える。覚え方は「上りは前、下りは後ろ」です。

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5分でわかる動画解説
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1枚でつかむ:車いす介助の4原則
移乗・走行・坂・段差で共通する考え方
🦽

移乗は健側へ

車いすは利用者の健側に置く。立ち上がり後の動線を考える。

📐

15〜20°斜方接近

ベッドと車いすは15〜20°の角度(斜方接近法)。

⬇️

下り坂は後ろ向き

急な坂・段差を下りるときは必ず後ろ向き

📏

段差は直角

段差に対して直角に近づく。斜めから上ろうとしない。

1. ベッド → 車いすへの移乗
片麻痺で一部介助を要する場合

移乗の基本は「健側に車いす・斜方接近法・前傾姿勢で立ち上がり」。利用者の身体は健側を軸に動き、患側は介護職が保護します。

15〜20°
斜方接近法(しゃほうせっきんほう)
ベッドに対する車いすの角度。これより小さいと回転が窮屈、大きいと移乗距離が長くなる。
1

挨拶・説明・同意

これから何をするかを伝え、利用者の同意を得る。

2

端座位+靴

ベッドに浅く腰かけた端座位をとってもらい、安定を確認、靴を履いてもらう。

3

車いすを健側に・15〜20°・ブレーキ

車いすを利用者の健側に置き、ベッドに対して15〜20°。フットサポートを上げ、健側ふくらはぎ辺りまで近づけ、ブレーキをかける。

4

健側で車いすをつかむ・かかと向き

健側の手で車いすのアームサポートをもつ。健側・患側のかかとを車いす側に向ける。介護職は患側を保護し、膝折れを防止する。

5

前傾姿勢で立ち上がる

利用者に前傾姿勢をとってもらいながら立ち上がる。介護職は臀部を車いす側に向ける誘導と、健側の足での移乗を補助。

6

ゆっくり腰を下ろす

座面前面に位置していることを確認し、いっしょに腰を落として座る。前傾姿勢で深く座る

7

深く座り直し・フットサポート

健側の上肢・下肢を使って臀部を後ろに引いて深く座る。フットサポートを下ろし両足を乗せる(できれば自分で)。

2. 車いす → ベッドへの移乗
同じ原則を逆方向で実行

ベッド→車いすの逆。15〜20°(斜方接近法)ブレーキ前傾姿勢の3つは共通。ベッド用介助バーがあれば健側でつかんでもらいます。

1

車いすをベッドにつける

健側の手がベッド用介助バーに届く位置で、ベッドと車いすの角度15〜20°ブレーキ

2

足を床に・浅く腰かける

健側でフットサポートを上げ、足を床へ。臀部をベッド側に向けて浅く腰かける。患側は介護職が介助。

3

介助バーをつかみ前かがみ

ベッドに手をつくか介助バーをつかみ、健側に体重を乗せて前かがみ、腰を浮かせる。バランスを崩しやすい場合は介護職の足で患側のつま先を保護。

4

仙骨部を保護してベッドへ

介護職は利用者の仙骨部を保護し、もう一方の手で患側の手または膝を支え、ベッドへの移乗を補助。

5

深く座り直し・姿勢確認

滑り落ちないようベッドの奥に座り直してもらい、姿勢・体調を確認。

3. 平地・坂道の走行
「下りは後ろ向き」を体で覚える

平地では介護職は車いすの真後ろに立ち、両手でグリップをしっかり握ってゆっくり進みます。舗装されていない道では、キャスター(前輪)の軸に砂利が入らないようキャスターを浮かせた状態で進みます。

⬆️上り坂

前向きで進む
  • グリップをしっかり握る
  • 脇を締めて両足を前後に大きく開く
  • 全身の筋力でゆっくり進む
  • 後ろに下がらないように注意

⬇️下り坂

必ず後ろ向き
  • 前向きで下ると利用者は前のめりで恐怖
  • 急な坂はスピードがでて危険
  • グリップをしっかり、脇を締めて両足前後
  • 後ろの安全を確認しゆっくり下る

⚠ 「前向きで下る」は危険

前向きで下ると、利用者は車いすから放り出されるような恐怖を覚え、介護職も全身で支えるのが難しくなる。急な坂は必ず後ろ向きで全身で車いすを支えるように下る。

💡 舗装されていない道

砂利道ではキャスター(前輪)を浮かせた状態で進む。キャスター軸に砂や砂利が入ると故障の原因になる。後輪(駆動輪)だけで進むイメージ。

4. 段差の昇降
上がる=前向き/下りる=後ろ向き

段差では利用者に不安を与えないよう、深く腰かけてもらい、安定した姿勢で声かけしながら介助します。段差に対しては直角に近づくのが原則。

⬆️段差を上がる

前向きで段差に直角
  • 「段差を上がります」と声かけ
  • 段差に対して直角に近づき止まる
  • ティッピングレバーを踏み込み、グリップを下げてキャスターを上げる
  • キャスターを段差の上にゆっくり下ろす
  • 駆動輪を段差につけ、膝の屈伸+大腿部でバックサポートを押し上げる
  • 車いすを段の上に乗せる

⬇️段差を下りる

必ず後ろ向き
  • 「段差を下りるので後ろ向きになります」と声かけ
  • 段差に後ろ向きで近づき止まる
  • 駆動輪が段差の角に沿うよう、ゆっくり下ろす
  • ティッピングレバーを踏み込みキャスターを上げる
  • レバーから足を離し、そのまま後ろに下がる
  • フットサポートが段差を通過したら、レバーを踏みながらキャスターを下ろす(利用者の足先が段差に当たらないように)

⚠ ティッピングレバーって?

車いすの後輪付近についている、足で踏み込むレバー。これを踏み込むとキャスター(前輪)が浮き、段差を越えられる。段差介助の必須テクニック。

5. 4場面まとめ表
向き・コツ・注意点
場面向きコツ注意点
平地前向き真後ろから両手でグリップ舗装なし道はキャスター浮かす
上り坂前向き脇を締め、両足前後・全身で押す後ろに下がらないように
下り坂後ろ向き後ろの安全を確認しゆっくり前向きはNG・利用者が恐怖
段差を上がる前向き直角・ティッピングレバー膝の屈伸+大腿部で押し上げ
段差を下りる後ろ向き直角・ティッピングレバー足先が段差に当たらないように
試験に出るところ
本音でまとめる
理解度チェック
押すと答えが出ます

Q1. 片麻痺の利用者をベッドから車いすへ移乗するとき、車いすの位置として最も適切なのはどれ?

正解はB。車いすは健側に置き、ベッドに対して15〜20°(斜方接近法)にします。健側に置くのは、立ち上がった後に健側の手でアームサポートをつかみ、回転して座るためです。

Q2. 急な下り坂で車いすを介助するとき、最も適切な方法はどれ?

正解はC。下り坂は必ず後ろ向き。前向きで下ると利用者は前のめりで恐怖を感じ、急な坂ではスピードが出て危険です。脇を締めて両足を前後に大きく開き、後ろの安全を確認しゆっくり下ります。

Q3. 車いすで段差を上がる介助で、最も適切なのはどれ?

正解はB。段差に直角に近づき、ティッピングレバーを踏み込んでキャスターを上げ、上にゆっくり下ろします。その後、駆動輪を段差につけ、膝の屈伸と大腿部の力で押し上げます。

Q4. 舗装されていない道で車いすを走行する際の介助として、適切なのはどれ?

正解はB。砂利道など舗装されていない道では、キャスター(前輪)の軸に砂や砂利が入るのを防ぐため、キャスターを浮かせた状態で進みます。後輪(駆動輪)だけで進むイメージです。
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