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生活支援技術Ⅱ・第1章 Lesson 3-②
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咀嚼・嚥下と脱水・誤嚥の予防

高齢者の食事は「気管に入れない・水を切らさない」

嚥下のしくみ・脱水と誤嚥の予防・窒息時の応急処置を、国試で答えられる形に整理。Lesson 3の最終回。

誤嚥性肺炎は介護現場で最も多い「予防可能な死因」のひとつ。姿勢・形態・水分で防げます。

アテナ様の導き

高齢になると嚥下反射咳反射が弱くなり、食べ物が気管に入っても咳でだせないことが増えます。これが誤嚥性肺炎の入り口。さらに、口渇中枢の反応が低下して喉の渇きを感じにくく、脱水も起きやすい。「気管に入れない」「水を切らさない」の2本柱で守ります。窒息時は背部叩打法腹部突き上げ法(ハイムリック法)を即座に。

アテナ様の導き(本音モード)

食事介助のなかで一番危ないのが「お茶や水」です。意外でしょ。サラサラした液体ほど気管に入りやすいんです。だからとろみ。とろみは見た目で「飲みづらそう」と思われがちですが、実は最も安全な水分の摂り方。脱水もよくある落とし穴で、「トイレが面倒だから飲まない」高齢者は本当に多い。飲まなさを責めず、飲める環境を整えるのが介護職の仕事です。

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1枚でつかむ:高齢者の食事における3つの危機
どれも予防可能。介護職の腕の見せどころ
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誤嚥

食べ物が気管に入る。誤嚥性肺炎へつながる。

⚠️

窒息

気管に異物が詰まる。即時対応が必要。

💧

脱水

口渇中枢低下で気づきにくい。意欲・循環に影響。

1. 咀嚼・嚥下のしくみ
3段階の反射で気管を守る

咀嚼とは口腔内で食べ物を唾液と混ぜながらかみ砕くこと。嚥下とは食道内に食べ物を送ること。咽頭内では気管と食道が隣接していて、食物が食道に入るとき、気管の入り口が一時的に塞がれる仕組み(喉頭蓋が気管の入り口をふさぐ)になっています。

1
🍙

食塊が送られる

咀嚼した食べ物が咽頭へ移動

2
🚪

軟口蓋が閉じる

鼻腔への逆流を防ぐ

3
🛡️

喉頭蓋が閉じる

気管の入り口がふさがれ、食道へ

⚠ 高齢者は咳反射も弱る

誤嚥しても、若い人は強く咳き込んで異物を吐き出すことができる。しかし高齢者はこの反射が弱くなり、咳をだすことが難しくなる。異物がそのまま肺内にとどまって感染を起こし、気管支炎や誤嚥性肺炎を発症することもある。

2. 咀嚼・嚥下機能が低下している場合の介助
姿勢・形態・水分を組み合わせる

事前のアセスメント

誤嚥リスクをしっかり評価。適切な姿勢・食事形態を医療職と検討する。

固形物と水分を交互に

口腔内・咽頭に食物残渣が残りやすいため、固形と液体を交互に摂って嚥下を促す。

食後の水分摂取

お茶や水で食物残渣を流す。口腔内に残さない。

口腔ケアの徹底

義歯の洗浄・歯磨きで口腔内の清潔を保ち、誤嚥性肺炎を予防

3. 脱水の予防
「気づきにくい・我慢する・摂れない」の3要因

高齢者は口渇中枢の反応低下により喉の渇きを感じにくいため、水分不足になりやすく容易に脱水を起こします。さらに、トイレへの移動が困難、尿失禁を気にして飲水を控える、認知機能障害で水分摂取への理解低下などの原因も重なります。

脱水の症状

🍽️
食欲低下
👄
口が渇く
😩
全身倦怠感
😵‍💫
めまい
💧
尿量減少
🟡
尿の色が濃い

⚠ 脱水の合併症は重い

水分不足は便秘・発熱・認知症の悪化を招き、心筋梗塞・脳梗塞のリスクも高めます。口腔内乾燥から口内炎・唾液腺炎、尿量減少から膀胱炎などの尿路感染症も起こりやすくなります。

脱水予防の4つのポイント

1

水分摂取量と尿量を測定

必要に応じて測定・記録する。脱水状態を客観的に把握する。

2

水分を摂る習慣をつける

食事のとき・入浴前後など、意識して水分を摂る習慣を提案。健康維持につながることを説明する。

3

日中に十分な水分

排泄動作の困難や介護職への気兼ねで水分を控えがち。遠慮は必要ないと伝え、日中に十分摂れるよう環境を整える。コーヒー・ビールは利尿作用に注意。

4

下痢・嘔吐時は特に注意

体外への水分喪失が大きい。多めの水分を適切な方法で摂取できるよう工夫する。

4. 誤嚥の予防
姿勢・順番・食品選び・水分の4本柱

誤嚥は、咀嚼・嚥下反射がうまくいかず、食べ物が気管に入ることで起きます。義歯の不具合や、いったん胃に入った食べ物の逆流でも起こりえます。呼吸が速くなる・表情が険しくなるなどのサインに気づくため、普段からのこまめな観察が大切です。

予防の6つのポイント

1

正しい姿勢で食事

顎を上げた状態は咽頭と気管が直線になり誤嚥しやすい。上体・頭部をやや前傾。臥位の場合はベッド頭側30°ギャッチアップ、麻痺がある場合は健側を下にした側臥位

2

意識がしっかりしているとき

傾眠状態では誤嚥リスクが高い。目を覚ましてから食事を始めるよう促す。

3

液状のものを先に

口腔内と食道を湿らせて、食べ物の通過を滑らかにしてから食べる。

4

飲み込みを確認してから次へ

「ごっくん」と飲み込んだことを喉の動きで確認してから、適切な一口量を口に運ぶ。

5

咀嚼・嚥下しにくい食品を避ける

後述の表を参照。

6

水分摂取は特に注意

液体は誤嚥しやすい。とろみをつける/寒天で固める/ペースト状・ムース食などで安全に。

避けるべき食品

咀嚼しにくい食品

繊維が多い・弾力性がある
  • たけのこ
  • ごぼう
  • 弾力性のあるもの全般

嚥下しにくい食品

水分が少ない/口腔内に付着しやすい
  • パン・カステラ・さつまいも(水分少)
  • のり・わかめ(口腔内付着)
5. 窒息時の応急処置
背部叩打法 と 腹部突き上げ法(ハイムリック法)

気管内に食べ物や異物が詰まり窒息すると、激しい咳き込み・喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)・呼吸困難・苦痛の表情・チアノーゼなどが現れます。進行すると痙攣・意識消失・呼吸停止に至ります。即座に異物除去を行います。

背部叩打法

(タッピング法)

利用者の胸に手を当て、もう一方の手の付け根で肩甲骨の間を叩く方法。

手のひらの付け根で「ドンッ」と叩く

腹部突き上げ法

(ハイムリック法)

後ろから抱きかかえ、片方の握りこぶしをみぞおちのやや下に当て、もう一方の手を重ねて斜め上方に圧迫する。

腹部圧迫で胸郭・気管内圧を上げ、異物を吐きださせる

禁忌:1歳未満の乳児・新生児/妊婦/意識のない人 にはおこなえない

⚠ 異常を見逃さない観察ポイント

突然の激しい咳き込み・喘鳴・呼吸困難・苦痛の表情・チアノーゼ──これらは窒息の警告サイン。誤嚥の様子がみられたら即時に応急処置医療職へ連絡

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Q1. 高齢者が脱水を起こしやすい理由として最も適切なのはどれ?

正解はB。高齢者は口渇中枢の反応低下で喉の渇きを感じにくく、加えて尿失禁を気にして飲水を控える、トイレ移動が困難、認知機能障害で水分摂取への理解が低下するなどの要因も重なります。

Q2. 嚥下機能が低下した利用者の食事介助で、最も適切なのはどれ?

正解はB。水分にはとろみをつける、寒天で固める、ペースト状やムース食を活用するなどで安全に摂取します。Cのパン・カステラ、Dののり・わかめはいずれも嚥下しにくい食品で、誤嚥の原因になります。

Q3. 窒息時の腹部突き上げ法(ハイムリック法)の禁忌として正しいのはどれ?

正解はC。ハイムリック法は腹部を強く圧迫するため、1歳未満の乳児・新生児、妊婦、意識のない人にはおこなえません。これらの対象には背部叩打法など別の方法を選びます。

Q4. 誤嚥を予防するための食事介助として、最も適切なのはどれ?

正解はC。顎を上げると咽頭と気管が直線になり誤嚥しやすくなります。上体・頭部をやや前傾させ、「ごっくん」と飲み込んだことを喉の動きで確認してから次の一口を運びます。意識がしっかりしているときに食事を摂ることも重要です。
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