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生活支援技術Ⅱ・第1章 Lesson 6-③
33

排泄障害|尿失禁・便失禁・便秘・下痢

5種類×尿便。原因×対処の組み合わせを覚えるだけ

5種類の尿失禁・5種類の便失禁、便秘・下痢の対処方法を、国試で答えられる形に整理。

蓄える障害/出す障害/環境障害の3カテゴリで整理すれば、暗記の負担が一気に減ります。

アテナ様の導き

排泄障害は「ためられない(蓄尿/蓄便障害)」「うまく出せない(排尿/排便障害)」「環境のせいで間に合わない(環境障害)」の3カテゴリで整理します。これに当てはめると、5種類の尿失禁も5種類の便失禁も覚えやすくなります。失禁があってもすぐにおむつにせず、原因を見極めて医療職と相談するのが第一歩。腹圧性は骨盤底筋訓練、切迫性は膀胱訓練、機能性は環境整備+誘導と、対処方法と原因はペアで覚えます。

アテナ様の導き(本音モード)

失禁って聞くと「もう仕方ない、おむつだね」と思いがちですが、原因によって対処は全然違うんです。くしゃみで漏れる人(腹圧性)は骨盤底筋を鍛える、急に来て間に合わない人(切迫性)は膀胱訓練で我慢の時間を伸ばす、トイレが遠くて間に合わない人(機能性)は手すりやポータブルで環境を変える。これだけで失禁が解消することは現場でもよくあります。「失禁=おむつ」じゃない、これがLesson 6-③の本音です。

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1枚でつかむ:失禁の3カテゴリ
尿・便ともに同じ枠組み
🛢

ためられない

蓄尿/蓄便障害/腹圧性・切迫性

🚰

うまく出せない

排尿/排便障害/溢流性・反射性(尿)・疑似性下痢(便)

🏠

環境のせい

環境障害/機能性失禁

1. 排泄障害の用語
「禁制」と「失禁」

禁制

コンチネンス(continence)

排尿・排便が正常な状態。意思によってコントロールできる。

失禁

インコンチネンス(incontinence)

尿や便が自分の意思と関係なく漏れること。心理的・社会的にも影響。

尿や便が漏れるだけでなく、出にくくなる頻繁にトイレに通うことも含めて排泄障害といいます。

⚠ 「失禁=即おむつ」はNG

失禁があってもすぐにおむつを使用せず、失禁の原因を見極め、排泄の状態を観察して医療職と相談する。原因ごとに対処方法が変わる。

尿
2. 排尿障害|5種類の尿失禁
蓄尿障害・排尿障害・環境障害
蓄尿障害
腹圧性

腹圧性尿失禁

重い荷物・くしゃみなど、腹部に力が入ったときに漏れる。
原因:出産・加齢で骨盤底筋群が緩む/対処骨盤底筋訓練、適切なパッド使用
蓄尿障害
切迫性

切迫性尿失禁

膀胱が萎縮し急に尿意をもよおし、我慢できず漏れる。
原因:脳血管障害などで脳からの排尿指令がうまくできない/対処:薬剤、膀胱訓練、水分コントロール
排尿障害
溢流性

溢流性尿失禁(いつりゅうせい)

排尿したくても出せず、少しずつ漏れでてしまう。
原因:男性に多い前立腺肥大症など/対処:薬剤、手術、カテーテル導尿。医療的処置が必要
排尿障害
反射性

反射性尿失禁

膀胱にある程度尿がたまると、尿意がなくても反射的に漏れる。
原因:上位の排尿中枢が損傷対処カテーテル導尿、排尿訓練
環境障害
機能性

機能性尿失禁

尿意はあるのにトイレに行くまでに間に合わず漏れる。
原因:運動機能低下・認知症などでトイレに間に合わない/対処住環境整備・福祉用具・適切なトイレ誘導

📝 排尿困難

尿がでにくくなっていること。神経が障害されているものを神経因性膀胱という。

📝 頻尿

1日10回以上の排尿。夜間に多いのは夜間頻尿。緊張・外出時にも増える。

⚠ 失禁時の関わり方

失禁がみられたときには手際よく始末し、利用者の人格を傷つける言葉や態度は避ける。「またですか」「困りますよ」などのつぶやきも禁物。

便
3. 排便障害|5種類の便失禁
尿失禁と同じ3カテゴリで整理

便失禁は尿失禁以上に臭いがあり、心理的・社会的な影響が大きい問題。蓄便障害・排便障害・環境障害の3カテゴリで整理します。

蓄便障害
腹圧性

腹圧性便失禁

括約筋の緩みで漏れる。
原因:加齢で肛門括約筋の筋力低下対処:下痢止め服用、専門医受診
蓄便障害
切迫性

切迫性便失禁

下痢などで急激な便意に我慢できず漏れる。
原因:下痢、直腸がん、肛門手術で括約筋損傷対処下痢の改善
排便障害
溢流性

溢流性便失禁

便があふれて漏れる。
原因:便がたくさんたまっている/対処下剤・浣腸の使用、生活習慣を整える
排便障害
疑似性下痢

疑似性下痢

直腸に硬い残便があり、その間を下痢が漏れでてしまう。一見下痢に見える便秘。
原因:直腸の硬い残便/対処:便秘の改善・下剤/浣腸
環境障害
機能性

機能性便失禁

トイレに行くまでに間に合わず漏れる。
原因:運動機能低下・認知症/対処住環境整備・福祉用具・適切な誘導

下痢

便の水分が多くなり、泥状または液体の状態。

便秘

便が硬くなり、排便しにくい状態が何日も続く。苦痛を伴う

頻便

排便回数が多いこと。

4. 便秘の対処方法
薬は補助、生活習慣の見直しが本筋

便秘は食生活・水分摂取・疾患・薬の影響・活動量・排便環境・生活習慣・心理などが影響します。原因を知り、薬は補助的な手段と考えて、気持ちよく排便できる工夫を組み合わせます。

1

規則正しい目覚め

寝床から起き上がると腸の運動が促され、大腸の便が直腸へ動く。

2

便意を我慢しない

朝食を摂り、便意があったら必ずトイレ。排便反射が起こると便意を催すが、我慢すると消失し便秘につながる。

3

排便しやすい姿勢

便座に座り、前かがみで膝と腰を曲げ、腹圧をかけやすくする姿勢。

4

食物繊維を多く含む食事

不溶性=水分吸収して膨らみ大腸ぜん動運動を活発化/水溶性=腸内環境を整える。

5

水分摂取(1日1,000〜1,500ml)

水分不足が便秘の原因。朝起きがけにコップ1杯の水で消化管を刺激し腸の運動を活発に。

6

適度な運動

上体ひねり・股関節屈伸・両膝を抱えるなどの運動が排便を促す。

7

腹部を温める

腹部全体を温めると腸を刺激し排便を促す。

💡 高齢者の便秘で押さえるポイント

朝起きてコップ1杯の水→朝食→便意があったらすぐトイレ」が黄金パターン。この生活リズムを支える環境整備が介護職の腕。

5. 下痢の対処方法
水分電解質補給と感染症対策

下痢には、感染症による一時的な食中毒、過食・脂質過剰・水分過剰・腹部の冷え薬剤・下剤の服用心理的影響などが原因となります。激しい痛みや血便、嘔吐・吐き気、持続的腹痛がないかも観察し、続くなら受診します。

💧 水分・電解質補給

体内の水分と電解質(ナトリウム・カリウム)が失われる。白湯・スポーツドリンクで補給。コーヒー・アルコールは刺激物なので避ける。

🍎 食事の工夫

脂肪の多い食べ物を避け、消化吸収の良いものを摂る。

🔥 腹部を温める

下腹部を温め、腸のぜん動運動を緩やかにする。

🧪 感染症対策

急な下痢を伴う場合は感染症の恐れ。排泄物で汚れた衣類は次亜塩素酸ナトリウムで処理。

⚠ 次亜塩素酸ナトリウムの活用

ノロウイルスなど胃腸炎の感染対策には次亜塩素酸ナトリウムが有効。アルコール消毒では効果が不十分なウイルスもある。施設では希釈方法を含めて運用が決まっていることが多い。

6. 失禁種類×対処まとめ表
尿失禁・便失禁の対処を一覧で
分類種類原因対処
蓄尿腹圧性尿失禁骨盤底筋群が緩む骨盤底筋訓練・パッド
蓄尿切迫性尿失禁脳血管障害など薬剤・膀胱訓練・水分コントロール
排尿溢流性尿失禁前立腺肥大症など薬剤・手術・カテーテル導尿
排尿反射性尿失禁上位排尿中枢損傷カテーテル導尿・排尿訓練
環境機能性尿失禁運動低下・認知症住環境整備・誘導
蓄便腹圧性便失禁肛門括約筋低下下痢止め・専門医
蓄便切迫性便失禁下痢・括約筋損傷下痢の改善
排便溢流性便失禁便がたまっている下剤・浣腸・生活習慣
排便疑似性下痢硬い残便の間を下痢便秘の改善
環境機能性便失禁運動低下・認知症住環境整備・誘導
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Q1. 出産・加齢で骨盤底筋群が緩み、くしゃみなどで漏れる尿失禁はどれ?

正解はA。腹圧性尿失禁は、腹部に力が入ったときに漏れるタイプ。骨盤底筋群の緩みが原因なので、骨盤底筋訓練が対処の中心になります。

Q2. 運動機能低下や認知症でトイレに間に合わず漏れる尿失禁の対処として最も適切なのはどれ?

正解はC。これは機能性尿失禁。原因は身体機能でも膀胱でもなく、環境です。手すりやポータブルトイレなどの住環境整備、適切な誘導で改善します。

Q3. 直腸に硬い残便があり、その間を下痢が漏れでる状態を何という?

正解はC。疑似性下痢は「一見下痢に見える便秘」。硬い残便の間を下痢が漏れ出るため、下痢止めではなく便秘の改善(下剤・浣腸)が対処になります。

Q4. 下痢を起こした利用者への対応として最も適切なのはどれ?

正解はB。下痢では水分と電解質(ナトリウム・カリウム)が失われるので、白湯・スポーツドリンクで補給。コーヒー・アルコールは刺激物なので避けます。下腹部は温める、脂肪の多い食事は避けるが正しい対応です。
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