介護過程=『自分らしい生活』を実現する一連のプロセス。意義・目的・国連原則・ICF活用までまるごと整理。
介護過程は、ベテランの「勘」を新人でも再現できる「手順」に変える道具です。
介護過程とは、「みつける→きめる→やる→ふりかえる」を繰り返す思考の地図です。最終的なゴールは、利用者の「自分らしい生活・より良い生活」の実現。「介護=決められた業務をこなす」ではなく、「介護=その人を観て、考えて、根拠をもって動く」を実現するための仕組みです。2007年の法改正で「心身の状況に応じた介護」と位置づけられ、介護過程の展開は介護福祉士の業務として確認されました。
新人さんが一番つまずくのは「言われたことをやっただけ」「なんとなくケア」になってしまうこと。介護過程は、『なんで今その支援なの?』に1秒で答えられるようにするための、思考の手順書です。ベテランが「勘でやっている」ように見えるアセスメントを、誰でも再現できる『書く・考える・見直す』のサイクルに落とし込んだもの。これができるから、介護福祉士は「資格職」なんですわ。
みつける
情報を集めて課題を読み解く
きめる
目的・目標・手順を決める
やる
計画に沿って支援を実践
ふりかえる
効果と支援内容を確認
※ 評価の結果、必要があれば再アセスメントに戻ります(利用者の状態は常に変化するため)。これにより介護過程は「らせん状」に質を高めていく仕組みになります。
介護過程の「過程」とは、手順・経過・道筋=プロセスのこと。つまり介護過程は、利用者の課題を解決に向けて検討→計画→実施→評価する一連の流れそのものです。場当たり的でなく、専門知識と技術を活用した客観的・科学的な思考過程として展開されます。
社会福祉士及び介護福祉士法が改正され、業務が「入浴・排泄・食事その他の介護」から「心身の状況に応じた介護」へ。介護過程の展開が介護福祉士の業務として明確になりました。
目「的」=的(まと)の中心、目「標」=道しるべの標識(しるべ)。最後にたどり着くのが「的」、その途中の道標が「標」と覚えると区別しやすいですわ。
介護過程の核は、利用者が情報を集めて「選択」することが難しくなっても、「どう生き、どう暮らしたいか」を選べるように支えることです。利用者の望む生活をともに考え、現状に沿って支援内容を組み立てる──これが個人の尊厳を保つ自立支援。介護過程に老人福祉法・介護保険法の理念を反映させることが重要です。
老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、また豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。
要介護状態となった者等が、尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、介護保険制度を設ける──。
「できないこと」にばかり注目して過剰な支援をすると、その人の自立を奪うことになります。介護がしやすい・早いという理由でスピード優先にするのも危険。利用者の生活リズムを尊重し、できる部分はやってもらうのが原則ですわ。
国連が1991年に採択した、高齢化への国際的な取り組みのひとつ。各国に「自国のプログラムに組み入れるように」と推奨されています。介護過程の理念とも重なる、5つの原則を押さえましょう。
食料・住まい・医療へのアクセス/できる限り長く自宅に住める
社会への統合/知識・技能を若い世代と共有/ボランティア
家族と地域のケア/医療・福祉サービス/プライバシーの尊重
潜在能力を開発/教育・文化・レクリエーション資源へアクセス
搾取・虐待を受けない/公正な取扱/経済貢献に関係なく評価
「じ(自立)・さ(参加)・か(介護=ケア)・じ(自己実現)・そ(尊厳)」。
──「じさかじそ」のリズムで暗記してくださいまし。3文字目だけ「ケア=介護」と読み替えるのがコツですわ。
生活支援は「できないことを援助する」だけではありません。利用者の自己決定を尊重し、「望む生活の実現」のために意図的に働きかけ、継続的に支援する行為です。「意図的に」とは、その人の全体像を把握し、分析→予測→見立てで支援内容を決めること。ここで活躍するのがICF(国際生活機能分類)です。
これに健康状態と背景因子(環境・個人)を加えた立体的な見立て。
制限があっても、本人が「していること」「できていること」に光を当てる。そこを足がかりに、健康状態・生活機能・背景因子の各視点から、課題を解決する支援を組み立てます。
「日々の支援は、すべて意味があり、根拠が示されるものでなければならない」。介護過程は、その根拠を客観的・科学的に作る仕組み。生活支援と介護過程は表裏一体ですわ。
Q1. 介護過程の最終的な目的として最も適切なのはどれか?
Q2. 「高齢者のための国連原則(1991年採択)」の5原則に含まれないのはどれか?
Q3. 2007年の社会福祉士及び介護福祉士法改正で、介護福祉士の業務はどう変わったか?
Q4. 介護過程におけるICFの活用として最も適切なのはどれか?