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介護過程Ⅰ・第1章 Lesson 1
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介護過程の概要

「行き当たりばったり」を防ぐ、考えるケアの地図

介護過程=『自分らしい生活』を実現する一連のプロセス。意義・目的・国連原則・ICF活用までまるごと整理。

介護過程は、ベテランの「勘」を新人でも再現できる「手順」に変える道具です。

アテナ様の導き

介護過程とは、「みつける→きめる→やる→ふりかえる」を繰り返す思考の地図です。最終的なゴールは、利用者の「自分らしい生活・より良い生活」の実現。「介護=決められた業務をこなす」ではなく、「介護=その人を観て、考えて、根拠をもって動く」を実現するための仕組みです。2007年の法改正で「心身の状況に応じた介護」と位置づけられ、介護過程の展開は介護福祉士の業務として確認されました。

アテナ様の導き(本音モード)

新人さんが一番つまずくのは「言われたことをやっただけ」「なんとなくケア」になってしまうこと。介護過程は、『なんで今その支援なの?』に1秒で答えられるようにするための、思考の手順書です。ベテランが「勘でやっている」ように見えるアセスメントを、誰でも再現できる『書く・考える・見直す』のサイクルに落とし込んだもの。これができるから、介護福祉士は「資格職」なんですわ。

1枚でつかむ:介護過程の5ステップ
みつける → きめる → やる → ふりかえる → くりかえす
1🔍

アセスメント

みつける
情報を集めて課題を読み解く

2📝

計画の立案

きめる
目的・目標・手順を決める

3🤝

実施

やる
計画に沿って支援を実践

4🔄

評価

ふりかえる
効果と支援内容を確認

※ 評価の結果、必要があれば再アセスメントに戻ります(利用者の状態は常に変化するため)。これにより介護過程は「らせん状」に質を高めていく仕組みになります。

1. 介護過程ってなに?
「気合いケア」から「考えるケア」へ

介護過程の「過程」とは、手順・経過・道筋=プロセスのこと。つまり介護過程は、利用者の課題を解決に向けて検討→計画→実施→評価する一連の流れそのものです。場当たり的でなく、専門知識と技術を活用した客観的・科学的な思考過程として展開されます。

2007年の法改正がカギ

社会福祉士及び介護福祉士法が改正され、業務が「入浴・排泄・食事その他の介護」から「心身の状況に応じた介護」へ。介護過程の展開が介護福祉士の業務として明確になりました。

4つの効果

  • 根拠に基づく介護ができる
  • 支援内容の見直しができる
  • 介護の質が向上する
  • 利用者の「自分らしい生活」が実現できる
2. 目的と目標、混同してませんか?
最終ゴールと中間ゴールの違い
目的
最終ゴール
「自分らしい生活・より良い生活」の実現。介護過程全体が目指す、いちばん大きなゴール。
目標
中間の目印
目的に向かう道のりに置く段階的な目印。「3か月後に車いすで食堂まで自走する」など具体的に。

💡 覚え方

目「的」=的(まと)の中心目「標」=道しるべの標識(しるべ)。最後にたどり着くのが「的」、その途中の道標が「標」と覚えると区別しやすいですわ。

3. 個人の尊厳を守る支援
利用者が「選択」できる状態を支える

介護過程の核は、利用者が情報を集めて「選択」することが難しくなっても、「どう生き、どう暮らしたいか」を選べるように支えることです。利用者の望む生活をともに考え、現状に沿って支援内容を組み立てる──これが個人の尊厳を保つ自立支援。介護過程に老人福祉法・介護保険法の理念を反映させることが重要です。

📜 老人福祉法 第2条(基本的理念)

老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、また豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。

📜 介護保険法 第1条(目的)

要介護状態となった者等が、尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、介護保険制度を設ける──。

⚠ やってしまいがちな落とし穴

「できないこと」にばかり注目して過剰な支援をすると、その人の自立を奪うことになります。介護がしやすい・早いという理由でスピード優先にするのも危険。利用者の生活リズムを尊重し、できる部分はやってもらうのが原則ですわ。

4. 高齢者のための国連原則(1991年採択)
5原則の覚え方:「じ・さ・か・じ・そ」

国連が1991年に採択した、高齢化への国際的な取り組みのひとつ。各国に「自国のプログラムに組み入れるように」と推奨されています。介護過程の理念とも重なる、5つの原則を押さえましょう。

🚶

① 自立

食料・住まい・医療へのアクセス/できる限り長く自宅に住める

🤝

② 参加

社会への統合/知識・技能を若い世代と共有/ボランティア

🏥

③ ケア

家族と地域のケア/医療・福祉サービス/プライバシーの尊重

🌱

④ 自己実現

潜在能力を開発/教育・文化・レクリエーション資源へアクセス

👑

⑤ 尊厳

搾取・虐待を受けない/公正な取扱/経済貢献に関係なく評価

💡 国試の覚え方

「じ(自立)・さ(参加)・か(介護=ケア)・じ(自己実現)・そ(尊厳)」
──「じさかじそ」のリズムで暗記してくださいまし。3文字目だけ「ケア=介護」と読み替えるのがコツですわ。

5. 介護過程の思考を、生活支援に生かす
ICFと組み合わせて「できる側」に光を当てる

生活支援は「できないことを援助する」だけではありません。利用者の自己決定を尊重し、「望む生活の実現」のために意図的に働きかけ、継続的に支援する行為です。「意図的に」とは、その人の全体像を把握し、分析→予測→見立てで支援内容を決めること。ここで活躍するのがICF(国際生活機能分類)です。

ICFで見る3つの側面

  • 心身機能・身体構造(からだの働き)
  • 活動(している日常動作)
  • 参加(社会との関わり)

これに健康状態背景因子(環境・個人)を加えた立体的な見立て。

注目するのは「できる側」

制限があっても、本人が「していること」「できていること」に光を当てる。そこを足がかりに、健康状態・生活機能・背景因子の各視点から、課題を解決する支援を組み立てます。

💡 合言葉

「日々の支援は、すべて意味があり、根拠が示されるものでなければならない」。介護過程は、その根拠を客観的・科学的に作る仕組み。生活支援と介護過程は表裏一体ですわ。

試験に出るところ
本音でまとめる
理解度チェック
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Q1. 介護過程の最終的な目的として最も適切なのはどれか?

正解はB。介護過程の目的は、利用者の「自分らしい生活・より良い生活」を実現すること。業務効率や費用削減は手段にすぎず、目的ではありません。家族支援は重要ですが、これも目的ではなく結果として生じる効果のひとつです。

Q2. 「高齢者のための国連原則(1991年採択)」の5原則に含まれないのはどれか?

正解はC。5原則は「自立・参加・ケア・自己実現・尊厳」。「競争」は含まれません。「じさかじそ」のリズムで覚えると国試本番でも引き出しやすいですわ。

Q3. 2007年の社会福祉士及び介護福祉士法改正で、介護福祉士の業務はどう変わったか?

正解はB。法改正で、業務の表現が「入浴・排泄・食事その他の介護」から「心身の状況に応じた介護」へ変わり、アセスメントしてニーズを明らかにする=介護過程の展開が介護福祉士の業務として確認されました。介護福祉士の専門性が明文化された改正です。

Q4. 介護過程におけるICFの活用として最も適切なのはどれか?

正解はB。ICFは「心身機能・身体構造」「活動」「参加」と背景因子・健康状態の5要素で生活を立体的に見る道具。介護過程では「できる側」に光を当て、そこを足がかりに望む生活を組み立てます。「できないこと」だけ見るのは旧来の医学モデルの考え方で、ICFの考え方とは逆ですわ。
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