家事援助の基本
裁縫・衣類寝具・買い物・家計管理
家事援助は4つの領域から成る。教科書通りの実技と判断基準で、「家政婦さん」を超える専門性を見える化
家事援助は4つの領域から成る。教科書通りの実技と判断基準で、「家政婦さん」を超える専門性を見える化
介護福祉士の家事援助は、教科書(レッスン6)では4つの領域で整理されています。裁縫、衣類・寝具の衛生管理、買い物の援助、家庭経営・家計管理の援助。それぞれにICFアセスメントと具体的な実技があり、いずれも本人の自立と自尊心を支えるための援助です。
教科書の家事援助は4つ。裁縫・衣類寝具の管理・買い物・家計管理。それぞれに観察ポイントと実技があって、本人の自立と楽しみを支えるための仕事ですの。
① ICFの視点でアセスメント(健康/心身機能/活動/参加/環境/個人因子)
② 本人の自立と意思を最大限尊重(できることは本人が行う)
③ 生活習慣・価値観を尊重(介護職の都合で変えない)
裁縫の援助は単なる衣類補修ではなく、裾のほつれや緩んだゴムが歩行中のつまずきを引き起こすため、転倒予防として重要な意味を持ちます。介護職は玉結び・玉留めなど基本的な縫い方を身につけ、必要に応じて針に糸を通すことから援助します。
裁縫って地味だけど、ほつれた裾を放置するとつまずいて転ぶ原因に。ゴムが伸びたズボンは脱げて転倒の元。だから裁縫は転倒予防の一環ですの。
| 縫い方 | 使う場面 |
|---|---|
| 並縫い | 基本の縫い方。日常的な縫い物全般 |
| 半返し縫い | 前の縫い目の半分まで返して縫う。強度UP |
| 本返し縫い | 前の縫い目の始めまで返して縫う。最も丈夫 |
| かがり縫い | ほつれや破れた部分を縫い合わせる |
| まつり縫い | 布の端を折り、表布に縫い目を出さず縫う(裾上げ) |
| 千鳥がけ | ほつれやすい生地の裾に用いる |
ゴムの取替え:①長さは利用者のウエストに巻いて決める ②両端は結ぶより縫い合わせる(皮膚への刺激軽減) ③幅広ゴムはヨレ防止に数か所縫い留める
裾上げ:①生地に合った色・太さの糸を選ぶ ②裁縫道具がない場合は市販の裾上げテープも活用 ③縫った後はアイロンで縫い目を落ち着かせる
裁縫前と同じ数の針があるか必ず確認。1本でも紛失すると、利用者の生活空間で怪我のリスクになります。介護職の責任で管理。
・裁縫=歩行リスク低減の意味も持つ
・基本縫い6種(並・半返し・本返し・かがり・まつり・千鳥がけ)
・ゴムは結ぶより縫い合わせる(皮膚刺激軽減)
・針の数の確認は介護職の責任
衣類・寝具の衛生管理は日常的な管理と収納時の管理の2段階で考えます。日常管理では替えを補充し、汚れたらすぐ取り替える。洗濯済みと未洗濯を分けるのが基本。収納時管理では防虫・防カビに注意し、感染症や皮膚障害がある人の衣類は区別して保管します。
衛生管理は2段階。日常は汚れたらすぐ替える。しまう時は防虫・防カビに気をつける。感染症のある方の衣類は必ず別保管ですの。
● 寝具は毎日交換が望ましい。少なくとも3〜5日に1回は新品に交換、汚れたらそのつど
● 週1回は日光に当てて乾燥・消毒(吸湿性と放湿性の回復)
● 紫外線量の多い午前10時〜午後2時に表裏を返して干す
● 長期収納は洗って完全乾燥→専用収納袋。洗えない場合はクリーニングを利用
防虫剤を使った衣類は、消臭やアレルギー症状防止のため、風通しの良い所に2〜3日置いて、防虫剤の影響がなくなってから着用します。すぐ着るのは避けましょう。
・衛生管理=日常管理+収納時管理の2段階
・感染症・皮膚障害のある人の衣類は区別保管
・寝具は3〜5日に1回交換、週1回日光消毒
・カビは高湿度・20〜30℃で発生
・防虫剤は異種併用NG(染み・液化)
買い物は単に物を買う行為ではなく、①何を買うか決める ②予算を検討する ③買い物に行くの3つの過程からなります。買い物は社会参加・社会的交流の重要な機会であり、利用者にとっての楽しみでもあります。身体機能が低下しても、できる限り参加の機会を確保し、自己決定を尊重した援助を行います。
買い物は社会参加の場ですの。物を買うだけじゃなく、外に出て・人と話して・自分で選ぶのが大事。歩けなくなっても、選ぶ・決めるのは本人にやってもらいましょうね。
● 買い物をしたがらない方 → 無理強いせず、興味・意欲を引き出す。何を買うか一緒に考えてもらう。買ってきたものを見ながら話す
● 施設生活の方 → 受け身になりがち。自分好みのものを選ぶ機会を作ることで生活に張りが出る
● 自分で行けない方 → 地域とのつながりを維持できる工夫(代行でも電話で店員と話すなど)
・買い物の3過程:決める→予算→行く
・買い物=社会参加・社会交流の機会
・代行時の指定店外利用は事前了承必須
・帰宅後は残金・商品・レシートの確認
・利用者の自己決定を最大限尊重
家庭経営とは、日常生活で起こる心身両面の欲求を消費活動で充足させていく営み全体を指します。物を手に入れるだけでなく、質・用途・嗜好・予算・調達方法を決めて適したものを揃えることまで含まれます。介護職は本人ができるだけ家計管理の主体者でいられるよう支援します。
家庭経営はただのお金の計算じゃなくて、暮らしを成り立たせる活動全体のこと。家計簿の援助+悪質商法から守るがヘルパーの仕事ですの。
家計簿・出納帳をつける援助は行うが、通帳・金銭は預からないのが原則。金銭管理が必要な場合は専門機関を紹介(成年後見制度・日常生活自立支援事業)。金銭を使った後はその日のうちに所持金を一緒に確認します。
| 商法名 | 手口 |
|---|---|
| マルチ商法 | 商品購入+自分も買い手を探す。買い手が増えるほどマージン |
| 催眠商法 (SF商法) |
閉めきった会場に集めて無料配付・格安販売で雰囲気作り→高額商品を売る |
| ネガティブ・ オプション |
注文してない商品を一方的に送り、受け取った以上支払い義務と勘違いさせる |
| モニター商法 (霊感商法) |
「先祖を供養しないとたたり」と不安をあおり、高額な壺・印鑑を売る |
| 点検商法 | 点検口実で訪問→「危険・交換必要」と新品に取り替えさせ代金請求 |
| 当選商法 | 「当選した」「景品が当たった」と特別感を演出して高額商品・サービスを売る |
悪質商法に巻き込まれた可能性を感じたら、消費生活センター(局番なしの188「いやや」)に早めに相談。介護職は家族・ケアマネと共有し、必要に応じて地域包括支援センターとも連携します。
・金銭・通帳は預からない(介護職の責任範囲外)
・金銭管理は成年後見制度・日常生活自立支援事業へ
・悪質商法6種類を覚える
・トラブル時は消費生活センター(188)
・金銭使用後は当日中に所持金確認
裁縫・衣類管理・買い物・家計管理 ── すべての家事援助は、ICFの6要素(健康状態・心身機能/身体構造・活動・参加・環境因子・個人因子)で観察します。同じ枠組みで見ることで、多職種連携がスムーズになります。
4領域ぜんぶ、ICFの6要素で見ますの。体・心・動作・社会・環境・本人らしさ。チームで同じ言葉で話せるようになるのが利点ですわ。
脳血管障害
関節リウマチ
骨粗鬆症
視力障害
認知症 など
筋力・関節可動域
麻痺・拘縮
認知機能
意欲
起居動作
姿勢保持
巧緻動作
金銭管理能力
意思表示
家庭の役割
地域とのつながり
趣味活動
住居環境
福祉用具
家族・地域
経済状況
社会資源
年齢・性別
性格・職業
教育歴
習慣・価値観
生育歴
家事援助の場面で得たICFの情報は、サービス提供責任者・ケアマネ・看護師・医師に共有することでケアプランの見直しにつながります。家事の場面は最大の情報源──ヘルパーの観察が、医療・介護チーム全体を動かします。
家事援助は裁縫・衣類寝具・買い物・家計管理の4領域。それぞれにICFの6要素でアセスメントし、本人の残存能力と自己決定を最大限尊重しながら支援します。介護職は金銭を預からない・悪質商法から守る・多職種に連携を徹底し、本人の暮らしの主体性を守ります。
裁縫で転倒予防、衛生管理で健康維持、買い物で社会参加、家計管理で詐欺から守る。家事援助は暮らしの土台を支える仕事なのですの。
● 国試の間 ⑩ 家事援助の範囲 ─ してOK・してNGのライン
● 国試の間 ⑫ 家事援助の基本 ─ 4領域の本編
● 家事援助の範囲 ─ してOK・してNGのライン
● 排泄のアセスメントと尊厳 ─ 心のケアまで届く介護
● 食中毒予防 ─ 介護現場の衛生管理
家事援助は地味に見えるけれど、裾を縫う・防虫剤を入れる・買い物に同行する・家計簿をつける──そのひとつひとつが、その方の暮らしを守る砦ですの。家政婦さんではなく介護のプロとして、本人の主体性・自己決定・尊厳を守りながら支える──それが家事援助の本当の姿ですわ。