✦ アテナ様のマーケティング教室|基本の6概念 ⑥ ✦

🔄 マーケットイン

Market-in vs. Product-out

「良いものを作れば、売れる」——
その信念が、なぜ良いものを埋もれさせるのか?

✍️ まずは「説明文を書き換える」体験から →
🔄

マーケットインとプロダクトアウトの違いとは?

プロダクトアウト=作り手の「作りたい」から始める
マーケットイン=買い手の「欲しい・困った」から始める

出発点が、作り手か、買い手か

職人が腕を磨いて最高の品を作る。技術者が性能を極める。それ自体は尊いこと。でも「これだけ良いのだから売れるはず」と考えた瞬間、買い手の頭の中が計画から消えます。マーケットインは、その逆。買い手が何に困っていて、何を欲しがっているかから出発し、そこに向けて作る・伝える考え方です。

🔨 プロダクトアウト
出発点:作れるもの・作りたいもの
問い:「どうすればもっと良くなる?」
言葉:「こだわり」「技術」「品質」
落とし穴:良さが伝わらず埋もれる
🧑‍🤝‍🧑 マーケットイン
出発点:買い手の困りごと・欲しいもの
問い:「この人は何に困っている?」
言葉:「あなたは〜できる」
落とし穴:言いなりで、無難になる
アテナ

どちらかが正しい、という話ではないのよ。良い商品を作る力(プロダクト)と、誰に何を届けるか決める力(マーケット)の両方がいる。多くの人は片方だけ強くて、もう片方が無いの。

🧠

なぜ「良いものを作れば売れる」が通じないのか

"良い"を決めるのは、作り手ではない

1

「良い」の基準が、作り手と買い手で違う

作り手の「良い」=技術的に優れている。買い手の「良い」=自分の困りごとが片づく。性能が10%上がっても、困りごとが同じなら買い手には"同じ"。

↓
2

良さは、伝わって初めて存在する

買い手は中身を全部試せない。見るのは言葉と見た目と評判。「こだわり」は作り手の言葉で、買い手には届かない。「あなたは〜できる」に翻訳されて、初めて良さになる。

↓
3

作り手ほど、自分の商品が見えなくなる

何年も作っていると、買い手が最初に感じる「分かりにくさ」「不安」が見えなくなる。詳しくなるほど、初めての人の気持ちから遠ざかる。

マーケットインは「言いなり」ではない

買い手が「欲しい」と口で言うものをそのまま作るのは、マーケットインではなく御用聞き。本当のマーケットインは、買い手の言葉にならない困りごと(インサイト)を見つけ、作り手の力でそれに答えること。作り手の腕は、ここで活きます。

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実例:出発点を変えたら

公になっている事例から

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「映画の専門パーク」から「来る人が楽しい場所」へ
PRODUCT-OUT → MARKET-IN

関西のテーマパークは当初「映画」という作り手側の軸を強く打ち出していましたが、再建の過程では来場者が何を楽しみたいかを軸に、映画に限らないアニメやゲーム、季節イベントを取り入れたと報じられています。出発点を「自分たちは何のパークか」から「お客さんは何をしに来るか」へ移した例として読めます。

🔧
高性能なのに売れなかった家電
PRODUCT-OUT

どの業界にもある話。機能を足すほど説明書が厚くなり、ボタンが増え、「結局何ができるの?」が伝わらない。技術は一流、翻訳がゼロ。

🎵
個人の創作活動
CREATOR

「自分の作りたいものを作る」は創作の核で、捨ててはいけない。ただし届け方はマーケットインでいい。「この曲は〇〇な夜に」「この漫画は〇〇で悩んでいる人へ」——作品は変えず、入口の言葉だけ買い手の側から書く。

アテナ

創作する人にこそ言いたいの。作るときはプロダクトアウト、届けるときはマーケットイン。作品まで買い手に合わせる必要はない。合わせるのは"入口の言葉"だけでいいのよ。

✍️

体験:説明文を書き換える

同じ商品、買い手の側から言い直すと?

作り手の言葉で書かれた説明文が5つ出ます。それぞれ、買い手の側から書き直した文を3つの中から選んでください。中身は一切変えていません。

💡

今日からできる「翻訳」

🔁主語を変える

「このパンは」→「あなたは」

主語が商品なら作り手の言葉、人なら買い手の言葉

❓「だから何?」を3回

無添加→だから?→安心→だから?

→「子どもに迷わず出せる」まで降りる

👂初めての人に聞く

「最初、何が分からなかった?」

詳しい人には見えない"入口のつまずき"を拾う

🏥職場でも

「新しい手順書を作った」→

「夜勤の申し送りが5分短くなる手順書」

⚠️

よくある誤解

❌ 「マーケットイン=お客さんの言いなり」

聞いたとおりに作ると、どこにでもある無難なものになる。買い手は"今ある選択肢の中"でしか答えられない。

✅言葉ではなく困りごとを見る。答えは作り手が出す

❌ 「プロダクトアウトは悪」

世の中を変えた商品の多くは、作り手の強い意志から生まれた。作る力が無ければ、届ける力は空回りする。

✅作るときは作り手の軸で。届けるときは買い手の軸で。両方持つ

❌ 「ちゃんと説明すれば分かってもらえる」

説明が長いほど読まれない。買い手は"理解"ではなく"自分ごと"を探している。

✅説明を増やすより、最初の一文を買い手の側に置き換える
アテナ

作り手の「こだわり」は、消す必要なんてない。それを買い手の言葉に翻訳するだけで、同じ商品が違って見える。翻訳は裏切りではなく、届けるための礼儀よ。

——書き換えテスト、あなたは何問で"主語"に気づいたかしら? ふふ。

✦ マーケティングの基本 6概念 ✦

「良いものを作れば売れる」の先へ

✦ SUMMARY ✦

作るときは、作り手の軸で。
届けるときは、買い手の軸で。
翻訳は裏切りではなく、礼儀。